オンラインカジノの違法性と逮捕

ここではオンラインカジノの違法性について、これまでの事例から考えてみようと思います。

 

NetBanq運営者逮捕の件

2016年2月16日、千葉県警サイバー犯罪対策課はオンラインカジノ決済代行会社であるNetBanqの運営者椎原宰(つかさ)容疑者(53)を主犯格とし、常習賭博容疑で逮捕送検しました。椎原容疑者はフィリッピン在住ですが、14日帰国したところ逮捕されました。他にも埼玉に住む通信会社役員益田伸二(50)、自称会社員島田賢一(43)を同容疑で逮捕しました。同課は主犯格を24時間中監視しており、6人による組織的犯行と見ていました。

NetBanqはジパングカジノ系列の決済サービスで、椎原容疑者を主犯格とするグループは他にもZ-Banq、VIP-Banqを運営していました。容疑者は全国の客約1600人を周旋して、23億2800万円を賭けさせ、約10億4400万円もの収益を上げていたと見られています。無店舗型カジノに関して賭博罪を適用したのは全国初となります。

同課は別の犯罪容疑で逮捕した男がこの件にも絡んでいたことから、益田容疑者を割り出したようです。益田容疑者等は事実を認めるも、決済代行をやっていただけで賭博にはあたらないと容疑を否認しています。顧客リストを手に入れた千葉県警は2016年~2017年まで、NetBanqを利用していた人数名にも家宅捜査をしました。

同課は資金の入出路からNetBanqを胴元と考え、顧客を必要的共犯の関係で両者を摘発できると踏んだようです。実際何人かのプレイヤーは書類送検され、略式起訴となりました。略式起訴とは軽犯罪の場合それを認め、10万~20万円の罰金を支払う代りに起訴されないというもので、要は無罪で前科も付きません。それを受け入れるものもいましたが、それすら不服とする人もおり、裁判で戦う姿勢を見せました。そして2017年新年早々不起訴を勝ち取りました。その時弁護を担当した麻雀プロでもある津田弁護士は、同じ賭博罪でも単純賭博罪と賭博場開張図利罪は軽重に差がありすぎて、前者は撤廃するべきであると主張しています。尚三容疑者がその後どうなったのかは情報がありません。

 

必要的共犯(対向犯)という考え方

以前よりオンラインカジノの違法性に関して、運営している胴元が海外にサーバーを置き、正当にライセンスを所持して合法的に運営しているため、当然日本の警部が逮捕できる立場にあるわけではないのに、それを利用している日本人を逮捕できるのかという問題がありました。賭博罪はそもそも賭博を開帳している胴元とそれを利用する客のセットでないと成り立たないのは言うまでもありません。一人で賭けはできませんからね。片側だけ逮捕というわけにもいかないのです。これを必要的共犯(対向犯)と言います。

津田弁護士の言うように賭博場開張図利罪は重罪であるが、単純賭博罪はそれに付随的なもので、胴元の検挙が目的にすぎないのです。それなのに賭博場開張図利罪である胴元が逮捕されないのに、その客が単純賭博罪で逮捕されるのも枝葉末梢な感じです。

 

スマートライブカジノの日本人ユーザー逮捕の件

2016年3月10日、スマートライブカジノ日本人プレイヤー3人が単純賭博容疑で京都府警に逮捕されるという事件がありました。日本での無店舗型のカジノでの逮捕は初となります。

当時スマートライブカジノとは、日本人ディーラーが出てきたり、出てくる時間帯を日本時間の夜~深夜に設定したりと、日本人を明確にターゲットにしたかなり思い切ったオンラインカジノでした。府警はこれを事実上日本人向けに提供したカジノと判断したわけです。

それまでは(今もそうですが)、ネットカジノは法の目を潜り抜けたオンラインギャンブルで、知る人ぞ知る人のみがひっそりとPCで楽しむのが普通でした。オンラインカジノも海外で運営されており、勿論日本がギャンブル禁止国なのは承知の上で、慎ましく入ってきた感じでした。オンラインカジノもユーザーも、決して表立って目立って活動しようとは思っていなかったのです。

しかしオンラインカジノが増えるに従って客の奪い合いが激化し、スマートライブカジノのような日本の法に対して挑発的なカジノが出てきてしまったのです。私も出てきた当初は「ここまでやるか。」「これはやばいんじゃないの。」という印象を受けました。

普通ライブゲームのディーラーは外国人で日本語はしゃべれません。チャットはできますが英語です。しかしディーラーが日本人女性となればその障壁は無くなり、当然日本人ユーザーは増えていきます。しかもチャットはユーザー間でもできてしまう環境でした。

そこに目を付けた府警が潜伏して、チャットで相手からいろいろ聞きだし、ツイッターや個人情報を特定し、クレジットカードの使用履歴と確認して逮捕に至ったというわけです。オンラインカジノ内でこのような環境を提供するのもどうかと思いますが、しゃべる方もしゃべる方だと思いました。先にも書きましたようにネットカジノはひっそりとやりものなのに、堂々と個人情報を特定されてしまうようなことを、どこの誰かも分からない人にチャットで話してしまうのですからね。また3人は自身のブログで、IDやプレイ履歴の公開など全てが公開状態であったためそれも証拠として残ってしまったそうです。

こうして埼玉県越谷市の制御回路製作会社経営関根健司(65)、大阪府吹田市の無職西田一秋(36)、埼玉県東松山市のグラフィックデザイナー中島悠貴(31)の3容疑者を逮捕するに至ったわけです。

刑法第185条:賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

3人はその後略式起訴となりました。

 

ドリームカジノの運営者逮捕の件

2016年6月10日、京都府警は大阪市中央区本町橋の会社役員ら実質運営者5人を逮捕したと発表がありました。無店舗型のカジノ運営者が逮捕されるのは国内初となります。容疑者等は共謀して大阪市天王寺区に事務所を設け、オンラインカジノのドリームカジノを運営し、2013.12~2016.3まで不特定多数の客を集め、お金を賭けて遊ばせたとしています。会員数は約9500人、賭け金の総額は約19億2600万円に上がります。

ドリームカジノはキュラソーライセンスを受けていることがサイト内に記載され、キュラソー島で運営されているはずですが、サポートは日本語のみで行われていたことから国内で運営されていると判断したそうです。

私もこのカジノは知っていましたが、当初から妙に日本人慣れして、明らかに日本市場を狙って立ち上げられたカジノだろうと思っていました。恐らくライセンスは本物だろうと思いますが、よく取れたなと思いました。キュラソーで住所を持ってライセンスを取ったのだとは思いますが、それを海外に持ち出して運営されるのでは発行元のキュラソーにも問題があると思いました。しっかり監査していなかったのですからね。

6月30日には京都地検は内2人を常習賭博罪で、内2人を常習賭博幇助罪で起訴し、内一人は起訴猶予にしました。起訴状によりますと役員等は海外に設置されたサーバー上のドリームカジノを大阪市天王寺区で運営し、客にポーカーやルーレット等をやらせたということです。

9月14日、京都地裁で3人に判決があり役員に懲役3年(執行猶予4年)、750万円の没収、他2人に懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)を言い渡しました。

形式的にサーバーが海外にあるとは言え、実質的に国内でオンラインカジノを運営するのはやはり違法でした。むしろ何で賭博開帳罪で無く、常習賭博罪なのか不思議なところです。

その後ドリームカジノは閉鎖されましたが、1年以上経ってユーザーにはカリビアンカジノを経由して残高の分を支払ったそうです。

 

自宅でプレイするオンラインカジノにおける政府の見解

2013年衆議院の質問答弁にて、自宅でプレイするオンラインカジノでも違法なのではないかという質問がなされました。以下質問と回答です。

賭博罪及び富くじ罪に関する質問主意書の一部:国内の自宅からインターネットを通じて海外のカジノに参加する場合であっても刑法第185条の賭博罪に該当するという理解でよいか。

政府の回答:犯罪の成否については捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断するべき事柄であることから、政府としてお答えすることは差し控えるが、一般論としては賭博行為の一部が日本で行われた場合、刑法第185条の賭博罪が成立するものと考えれれる。

要は政府でもはっきり分からないが、証拠次第では賭博罪は成立するという解釈でいいかと思います。

 

まとめ

2016年はオンラインカジノ業界にとっては震撼となる年でした。私としては、個人で遊技で小額を賭けて自宅で慎ましく遊ぶ分には全然問題ないと思うのですが、日本は今までの文化からどうもギャンブルに対しては厳しいようです。大人の遊びですから多少お金を賭けてそこにスリルを求めるのも、一時の娯楽に供する物と見なしていいような気もするのですが何か目くじらを立てる感じですよね。正直全く賭け事のない文化って古今東西無かったと思いませんか。もしあったとしたら寧ろ気持ち悪いくらいです。

国内でオンラインカジノを運営するというのはさすがに拙いですが、不起訴という結果から考えてもオンラインカジノユーザーを現状の法律で罰するのは難しいみたいです。恐らく自宅でこっそり楽しむ分には問題ないと思いますが、グレーゾーンですので大きく勝った画像をブログに載せたり、SNS等で個人が特定されるような行為はしない方がいいです。

オンラインカジノは政府でも白黒はっきりしないようなグレーゾーンですので個人でやられる方は自己責任にてお願いします。

オンラインカジノ利用者国内初の逮捕について

先週の木曜日(3/10)、京都府警が自宅のパソコンでオンラインカジノを利用して現金を賭けたとして、埼玉県越谷市会社経営の男(65)ら3人を単純賭博容疑で逮捕しました。

オンラインカジノの一つスマートライブカジノで、ディーラーを相手にブラックジャックで約3千円~11万円を賭けた疑いで、容疑者は合計で約5千万円使ったと供述しています。

※賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処せられる(刑法185条本文)。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは不処罰とされている(刑法185条但書)。

 

smartlivecasino

スマートライブカジノ

 

無店舗型のオンラインカジノ利用の逮捕は全国初となり、業界関係者は戸惑っているところです。

実際に私も、カジノ解禁を前にしてなぜこんなことが起こりえるんだと戸惑っているところです。

また容疑者は「海外サイトなので大丈夫だと思った。」とも供述していますが、この一言はそう謳ってオンラインカジノを紹介してきた私共にも重くのしかかるものでした。

 

現時点では情報が少なくいろいろな憶測が飛び交っているところですが、これがもし起訴までいって有罪判決になると、オンラインカジノをはじめとしたオンラインギャンブル全般は違法ということになってしまいます。

しかしオンラインギャンブルに関した法的規制がない現状、裁判所や弁護士も相当扱い方が難しいのではないかと思われます。

今になって思うと2000年頃から出てきたオンラインカジノに対して毎年利用者が増え続け、なぜ今まで法的整備をしてこなかったのかなっと思ってしまいます。

 

オンラインカジノはこれだけ露出してきたとはいえ、まだ認知度が低いため、他に取り組むべき課題があったということでしょうか。

カジノ解禁を視野に入れて法的齟齬が生じないように、見てみぬふりをしてきたということでしょうか。

 

今回はこの一件を、私見を交えて解説してみたいと思います。

まずは状況から確認してみます。

 

スマートライブカジノはディーラーが日本人で、開業時間が日本時間の夕方から深夜に設定されおり、府警は事実上国内で日本人向けにカジノが開かれて賭博行為をしていると判断したそうです。

このライブディーラーはチャットしながらでき、日本人の女性ディーラー約10人が出演していました。

また府警はこのサイトを昨年10月にサイトを発見していたと言っています。

 

スマートライブカジノの存在は私も知っておりました。

確か2年くらい前から日本へ進出しており、日本人女性ディーラーもいるということも聞いたことがあります。

他のオンラインカジノに比べて、妙に日本人ユーザーを意識しているなと思っておりました。

当サイトで紹介も試みましたが、知名度や規模から考えて、暫く時の試験を受けてもらおうと判断しました。

 

さて話を戻しましてこの状況から考えますと、この逮捕には2つの解釈ができます。

 

一つ目はオンラインカジノ自体が違法という解釈で、海外にサーバーがあろうと、胴元も海外にいて逮捕できなくても、日本国内でお金を賭ける行為をすればそれは違法になるということです。

この解釈には国際カジノ研究所所長、木曽崇氏が強く支持しています。

しかし元々木曽崇氏はオンラインカジノ=悪というプロパガンダを発信していますので、その点は考慮しないといけません。

いずれにしろこの場合は、オンラインカジノは違法で今まで摘発できなかったけど、府警がたまたま日本人が多く利用していそうなスマートライブカジノを見つけ、ライブディーラーのチャット機能を利用して個人を特定したということになります。

 

二つ目はスマートライブカジノはあまりにも日本人へ特化しており、府警が闇カジノと同等のものと判断して、その利用者は単純賭博罪にあたると判断したということです。

これにも根拠があり、特に府警はこのサイトを昨年10月にサイトを発見していたと言っているところであり、府警が去年の10月までオンラインカジノの存在を知らなかったとは思えず、あまりにも日本人を対象としていたため闇カジノと判断したスマートライブカジノがたまたまオンラインカジノだったという解釈です。

実際にスマートライブカジノだけが、業界唯一の日本人ディーラーを採用していました。

この場合はオンラインカジノ自体はまだ法的整備に乏しく、違法ともいえないということになります。

smartlivecasinodealer

スマートライブカジノの日本人ディーラー

 

いずれにしろ今回のスマートライブカジノは、捜査員が会員となってテーブルに入れば客同士がチャットで会話できるため、個人情報が抜けて摘発しやすいといった状況でした。

 

甲南大学法科大学院教授、弁護士、園田寿氏は、競馬・競輪などの公営ギャンブルやパチンコなどの遊技が存在する上で今回のような逮捕はあまり意味が無く、単純賭博を刑法から削除してもいいのではないかということも言っています。

 

私としましてもオンラインカジノを利用したくらいで、有罪判決になってほしくはなくないなというのが正直なとことです。

もし今回の府警の逮捕の意図が一つ目に当たるのだとすれば、賭博法の拡大解釈であってほしいです。

 

今回の逮捕者が出たことによりオンラインカジノのイメージは相当悪くなりましたが、まだ逮捕されたという段階なので(逮捕=有罪というわけではない)、司法で明確な判断を下せることに期待したいと思います。

またもし有罪判決になるとすれば、どの点が有罪に当たるのかも注意したいところです。

 

ここに改めてもう一度書いておきますが、オンラインカジノは現在では善とも悪ともつかないグレーなものですので、利用の判断にあたりましては自己責任でお願いします。