山口県阿武町の山口翔への誤送金問題と岸田総理のオンラインカジノの取り締まり

2022年4月8日、阿武町が住民税非課税世帯への新型コロナの臨時特別給付金として、全463世帯へ10万円ずつ支給するはずだったのが、銀行に誤った依頼をして、一人に全世帯額の4,630万円を振り込んでしまいました。阿武町はその男性に返して貰えるようにお願いするも返して貰えず、男性は全額をオンラインカジノで使ってしまいました。

その後阿武町は、男性が振り替えたオンラインカジノの決済代行業者から返金して貰えるも、今までグレーで表立ってこなかったオンラインカジノ業界に世間からスポットを当てられることとなってしまいました。田口翔容疑者は電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕され、6月1日の衆院予算委員会では山岸議員の厳しい追及により、とうとう岸田総理の口から「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」とオンラインカジノ業界関係者を震撼させる言葉が出てしまいました。

今回はこの事件のあらましを時系列でまとめてみて、衆院予算委員会での質疑応答を見て感じたこと、これらの事件で重要だと思われる人の動向、事件の全体像とからくり、今後どのように取り締まりが行われることが予想されるのかをまとめてみました。

 

時系列

2022.4.8 山口県阿武町の職員が、住民税非課税世帯への新型コロナの臨時特別給付金として、全463世帯へ10万円ずつ支給するはずのところを、その他に、誤って一人に全世帯分の4,630万円を振り込んでしまう。その時銀行へはフロッピーディスクで依頼。振り込んだ後銀行側が阿武町に確認して誤りであったことが発覚。その日のうちに副町長が振り込まれた男性に謝罪して返金して貰えるようにお願いするも、応じて貰えず。

4.14 副町長と男性の母親が説得しに行くもやはり応じず。

4.20 男性が務めていたホームセンターを退職する。その間に別口座(決済代行業者)へ、振り込まれた4,630万円を全額、計34回に渡って移す。

4.21 再び副町長が男性宅へ訪れると、「お金は口座から動かし、戻せない。罪は償う。」と言われ、この後男性と連絡が取れなくなる。

4.22 阿武町は記者会見を開き、誤って一人に4,630万円を振り込んでしまって、まだ回収できていないことを発表する。

記者会見で頭を下げる花田憲彦町長(左)と中野貴夫副町長(右)

5.12 阿武町が返金に応じない男性を提訴すると言って男性の名前と住所を公表する。田口翔(24)、阿武町大字福田下3437番地

5.16 男性の弁護士が顔出しNG・実名公表無しで会見し、返金ができないことを伝える。

5.17 阿武町が男性がオンラインカジノで全額使ったと説明受けたことを明かす。

5.18 田口翔容疑者が電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕される。

田口翔(24)

5.23 田口翔容疑者が使った3つの決済代行業者のうち1つが、27回に渡って入金した3,590万円全額を阿武町に返還していたことが分かる。

5.31 その後も回収され4,630万円のうち9割が回収された。3社の口座には計約600万円しか残っていなかった模様で、決済代行業者が自腹を切った可能性が高い。

6.1 衆議院予算委員会の集中審議で、立憲民主党 山岸一生議員の「よもやオンラインカジノを放置したまま箱物カジノを認可する、このまま進めていくってことはこれはありえないと思いますけども総理ご決断をお願いいたします」に対し、岸田総理はオンラインカジノについて「違法なものであり、関係省庁と連携し厳正な取り締まりを行う」と明言する。

 

突然世間に脚光を浴びたオンラインカジノ

オンラインカジノに関しては今更ながら当サイトで説明するまでもありませんが、海外で運営されているカジノサイトで、そこへ入金し、そこで遊んで、そこから出金できるサービスです。ウェブ上なので日本からもできてしまうところが問題ですが、必用的共犯(対向犯)という観点から、日本では一概に黒とも言えなくグレーなものとして、知る人ぞ知るという感じで利用されてきました。

 

そして判明したのが何と日本は隠れオンラインカジノ大国で、オンラインカジノアクセス数が世界で4位なのです。

 

近年コロナ禍で巣ごもり消費が増える中で、オンラインカジノの国内利用者は200万人を超えると言われ、これは日本の公営ギャンブルに匹敵する数です。

カジノゲームは主に、スロットやブラックジャック、バカラ、ルーレット等です。元々カジノゲーム自体ハウス側(カジノ側)が有利にできており、長く遊ぶとほぼ誰も勝てなくできています。しかし控除率は3%くらい(還元率は97%くらい)で、公営ギャンブルに比べて大分低く、大数の法則が収束するのに時間がかかります。よって一時的に勝利額がプラスになることは珍しくありません。

オンラインカジノのゲームの仕組みはハコモノカジノと一緒です。オンラインカジノはよくイカサマを疑われますが、何のことは無く、元々カジノ側に有利なゲームにただ大数の法則を働かせて利益を上げているだけなのです。そしてどのゲームにも還元率は記載されています。オンラインカジノは正々堂々とそのサービスを提供し、ユーザーもそれ(ゲーム自体多少プレイヤーに不利にできている)を承知して遊ぶのです。一種のサービスで、その良し悪しは利用者次第ということになります。但しオンラインである以上、スマホからでも簡単にアクセスできてしまうので、46時中制限無く遊べてしまうのはいささかいき過ぎてる気はしますけどね。

 

オンラインカジノで数日で4,630万円もの金を使えるのか

結論から言えば十分使えます。田口翔容疑者は数日で溶かしたそうですが、数分で溶かす可能性すらあります。

これはEvolution Gamingのバカラのサロンテーブルですが、要はハイローラーのためのVIPテーブルで、賭け金が$1,000~50,000とあります。日本円に換算しますと129,820円~6,491,000円となります。(129.82円/$ 2022.6.3 15:00時点。)つまりMaxベットで7回負けると、ほぼ溶けてしまうことを意味します。バカラの1ゲームは1分もかかりませんので、少し負けが続くと4,630万円ぐらいはすぐに溶けることは容易に想像つくと思います。

要はカジノそのものなので、その感覚で考えれば4,630万円など一溜まりもないのです。勿論逆もあり、大王製紙前会長の井川意高は150万円を4時間半で22億円にしたこともあるそうです。

最もこれらはハイローラーのケースで、我々庶民は$1賭けて$100も負ければがっくりきますけどね。オンラインカジノはこのように、人に応じて低額~高額までベットできるのです。

 

オンラインカジノの決済代行業社とは

オンラインカジノで遊ぶためにはオンラインカジノに入金しなければいけません。しかしオンラインカジノはグレーであるため、クレジットカード会社が受け付けてくれないのです。また直接銀行送金もありますが、オンラインカジノは海外で運営されており、海外送金になてしまいます。これは時間がかかったり、英語ですのでハードルが上がってしまいます。そこで決済代行業社が出てくるのです。決済代行業社は国内に口座を持ており、ユーザーはその口座に入金すれば、後はそこからオンラインカジノへ入金することができます。つまりユーザーとオンラインカジノの資金のやり繰りを仲立ちするのが決済代行業社なのです。具体的にはAstroPay、エコペイズ、アイウォレット、Hi-BANQ等がそれに当たります。

オンラインカジノの国内から利用は違法である可能性がありますので、当然オンラインカジノへ資金の流れを幇助する国内の決済代行業者も、違法である可能性があります。よって決済代行業者は金融庁に登録されているかも怪しいもので、個人で目立たないようにやっているか、或いは登録されていても別の名目になっていると思われます。

今回田口翔容疑者が使った決済代行業者は3社で、3社の口座には計約600万円しか残っていなかったようです。つまり本人が言ったように、やはり大部分はオンラインカジノで使ってしまった可能性が高いです。しかしそれでも決済代行業者が自腹を切ってでも速やかに返金したのは、自分等の存在を突っ込まれると痛いからに他ならないと思いませんか。決済代行業者が使っている国内口座は、金融庁が調べればすぐに分かりますので、捜査されて何らかのぺナルティを受ける可能性が高いです。オンラインカジノの決済代行業者はそれなりにリスキーで、自分等も分かっていたことと思います。今回の件で一番割を食ったのは決済代行業だと思います。

 

パンドラの箱を開けてしまった田口翔

1:52より山岸議員の岸田総理へのオンラインカジノに関しての質疑応答があります。

2022.6.1衆院予算委員会での、立憲民主党の山岸一生議員の、岸田総理への質問です。注目は岸田総理が「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言したことです。遂に来るべき日が来てしまったかという感じですね。今までグレーだったオンラインカジノが田口翔容疑者の件でスポットライトを当てられてしまい、白黒つけねばならなくなってしまったということです。以下はこの質疑応答に対しての私の感想です。

まず山岸議員の質問がキビキビしていいですね。新人議員にしてはキレキレだったと思います。しかし驚いたのは、山岸議員がオンラインカジノは国内でプレイすることは違法と明言していることです。刑法の賭博罪を構成すると言っていますが、これは先にも述べましたように議論の余地があるのです。しかし質問の持っていき方は上手いと思いました。

政府の考え方としては、ギャンブル依存症対策は合法的なギャンブルに対して行い、違法のものに関しては取り締まりを行うと言っています。山岸議員は、総理にオンラインカジノ取り締まり対策の提案として、金の流れを止めると言っています。ここで決済代行業者が持ち上げられるのですが、さすがに鋭い所を突いてくるなと思いました。送金システムこそオンラインカジノの急所中の急所だからです。

もう一つ疑問に感じたのは、山岸議員はオンラインカジノを指して、違法なものから国民の健康と財産を守るのが政治の責任とありますが、違法かどうかはまだはっきりしていなく、指している財産というのは、国のものではなく国民のものだから、どのサービスを利用するかは国民の権利なのではないかということです。見方を変えるとかえって人権を侵害しているような気さえします。

パチンコは3店方式なんてこじつけて違法ギャンブルの部類から逃れていますが、これはおかしいですよね。カジノをこれと同じからくりにして国内で個人で営業すれば、間違いなく賭博場開張図利罪で逮捕されます。ガチャやソシャゲーもオンラインカジノとは違えど、同じ実態のないサービスを提供しており、似たようなサービスだと思いませんか。普通に考えてもオンラインカジノを取り締まるなら、これらも取り締まってもいいような感じがします。

そして山岸議員はオンラインカジノを指して社会の脅威と言っていますが、これは明らかに言い過ぎで、実際は健全な付き合い方ができている人が利用者の大多数を占めると思います。私がパチスロで1万円負けようが勝とうが、彼等には無関心だと思いますが、それと何ら変わるところはありません。寧ろそちらの方がオンラインカジノで動く金より大きいくらいです。

岸田総理はハコモノカジノを指して、他の施設も含めて家族で楽しめる複合施設(要はIR)にすると言っていますが、他国の例で見てもそれらの施設単独で利益を出すのは難しく、カジノの大きな収益で補填しているようなので、実際はそれらの施設は集客装置或いはカジノのカモフラージュといったくらいのものです。

そして極めつけは岸田総理も「オンラインカジノは違法のものであり、関係省庁と厳正な取り締まりを行わなければならない。」と言っています。実際は阿武町の誤送金問題でオンラインカジノ等昨日今日知ったくらいの知識だと思いますが、山岸議員の口車に上手く乗せられてしまった感じがします。こういう結論を出さねばならないくらい、山岸議員の質問の誘導が上手かったと思いました。

これらの質疑応答はオンラインカジノが違法であることが前提に行われていますが、オンラインカジノを国内で利用することは本当に違法なのでしょうか。違法なら現行法で刑法のどの部分に抵触し、どれぐらいの罪になるのでしょうか。過去の検挙事例では3人が略式起訴、1人だけそれを受け入れず法廷で争う姿勢を示し不起訴処分となっています。山岸議員がオンラインカジノは違法と先に言ってしまいましたが、これは答えだけ書いた数学の答案のようなもので0点だと思います。私がそれを聞いた時、そこまで飛ぶかと思いました。そもそも違法ってハッキリしてるなら、なぜ今まで取り締まらなかったんだと突っ込みたくもなります。

 

一連の騒動に対する重要と思われる人物

田口翔容疑者

今回の事件の渦中の人です。恐らく今最も日本で注目されている一人ではないでしょうか。2020年の秋、空き家バンクを活用して出身の山口市から移住してきたそうです。阿武町の非課税世帯463世帯の1世帯に含まれ、新型コロナ対策で10万円給付されるところを誤って4630万円振り込まれ、返金しなければならないのにオンラインカジノにほぼ全額摩ってしまった張本人です。

5月18日、電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されました。その後田口容疑者が送金したオンラインカジノの決済代行会社3社からほぼ9割方返金され、今後どういう身の振り方をされるのかに注目が集まっています。

この騒動でグレー(法律的に合法か違法区別のつかない)のオンラインカジノにスポットが当たってしまい、世間に対して少なからずオンラインカジノに悪い印象を与えてしまい、山岸議員の格好の的となってしまい、業界関係者を慌てふためかせました。

出所後は業界関係者から命を付け狙われるのではないかとも噂されています。しかし私の考えではオンラインカジノの法的な問題はいずれ提起されると思っていましたので、それが少し早かったというだけで、そこまではいかないと思います。しかしいろいろと迷惑な人でしたね。黙って返金していれば何事も無かったのにと思います。

 

木曽崇先生

今回一連の騒動で最も得をした人です。(少なくとも気分的には。)国際カジノ研究所長で、日本ゲーミング協会の代表理事という肩書です。今回の予算委員会の山岸議員を陰で全面にサポートしていることを自ら言っていました。木曽先生は従来からオンラインカジノアフィリエイターに目くじら立ててきた節がありますが、今回の件で鬼の首を取った感じで、さぞ酒が旨いのではないでしょうか。阿武町の誤送金事件でオンラインカジノが悪い意味で世間に知れ渡ることとなり、この機にオンラインカジノ業界を一網打尽にするチャンスだと思ったに違いありません。山岸議員はオンラインカジノの業界に関しては恐らく素人だと思いますが、国会の質疑では話の組み立て方からして上手いと思いました。しかし先生が入れ知恵をしてたならそれも頷けます。

ここで一つ疑問ですが、ではなぜ先生はオンラインカジノ業界(特にアフィリエイター)を毛嫌いしているのでしょうか。個人的な恨みというよりもこの業界全体に対して向けられている感じです。以下私の推測ですが、まずは先生の経歴を見てみます。

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査部内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。とあります。

とても輝かしい経歴ですね。勿論カジノ推進派で、ハコモノカジノの先導者と言っても過言ではありません。そしてネバダ大学で学んだことに自分の味を加えて、日本のカジノを牽引していきたいという願望を汲み取ることは容易にできます。そうなるとオンラインカジノは邪魔になりますね。なぜならオンラインカジノは海外のサイトで、彼等の蚊帳の外だからです。日本のカジノ事業は彼等が独占したいのです。

本来なら彼等に流れていくはずの収益がオンラインカジノに流れていってしまっては面白いはずがありません。そして日本のハコモノカジノ(まで建設地すら決まっていない)と世界のオンラインカジノ(ネットであふれかえっている)を比較してみたら規模が違いすぎます。これでは仮にカジノができたとしても、利用者は利便性のいいオンラインカジノに流れて言ってしまうのは容易に想像できます。そもそもカジノ建設がうやむやになってしまう可能性すらあり、手をこまねいているのと思われます。

ただオンラインカジノ自体は海外で合法的に運営しているため、彼等ではどうすることもできません。そうなるとそれを仲介している、日本のオンラインカジノアフィリエイターに向くのも自然だと思います。「俺のシマで、俺を蔑ろにして勝ってなことをしてるんじゃねー。」って言いたいのだと思います。

しかしハコモノカジノもオンラインカジノもカジノはカジノで、カジノゲームに関しては全く同じサービスなのです。ハコモノが良くてオンラインはダメというのも何かおかしい気がしませんか。そして多くの人もそう感じると思います。カジノを解禁するなら、どちらをやるかはユーザーに選ぶ権利があってもいいと思います。先生の言い分は如何にももっともらしく聞こえますが、時折垣間見える矛盾はやはり己の利己主義が存在するからに他無いと思います。

 

山岸一生議員

2021年東京9区より初当選した立憲民主党の山岸一生議員です。前職は朝日新聞記者でした。スキャンダルの噂もありますが、ここでは割愛します。カジノ反対派です。今回の予算委員会では、ハコモノカジノ推進派だけどオンラインカジノ反対派の木曽先生と手を組む形で、オンラインカジノを槍玉に挙げました。阿武町の件で悪役有名になったオンラインカジノは、今回の山岸議員のいい標的だったのではないでしょうか。本人の主張も一致していますし、叩きやすいからです。政治家としての経験はまだ浅いですので、世間に対していいアピールになったのではないかと思われます。

しかしこんな事言っては悪いですが、あくまでアピールのネタということで、内心はどうでもいいと思っているはずです。なぜならオンラインカジノ業界は確かに市場規模は大きいですが、ほとんどのユーザーはオンラインカジノと健全な付き合い方ができているからです。一部今回の田口翔容疑者のように、身を崩すような賭け方をする人もいると思いますが、多くのユーザーは身の丈に合わせて楽しんでいます。山岸議員も今まで全く賭けをしたことが無いということは無いと思いますが、それと同じ趣味なのです。日本のパチスロと本質は一緒です。

 

木原直哉ポーカープロ

東大出身のポーカープレイヤーで、2012年WSOP(ワールドシリーズオブポーカー)のポットリミットオマハシックスハンデッドで優勝し、賞金$51万とブレスレットを獲得しました。運と実力の間は私も読みました。ポーカーで稼ぐという意味を分かっている人で、ポーカーの勝負をビジネスととらえている人です。

そしてそれはリアルに止まらず、オンラインポーカーでも一緒です。そして現在は残念ながらオンラインポーカー無くしてポーカーの上達はありえません。彼もこれで強くなり、推奨していました。短時間で多くのハンドを経験し、ハンド履歴が見返せ、世界中の強いプレイヤーといつでもどこでも対戦できるからです。

オンラインポーカーはオンラインカジノとは少し違い、ユーザー間でリアルマネーでポーカーし、運営元はレーキ(ゲーム代)を徴収するという仕組みです。プレイヤーの腕がレーキを上回った時利益が出ます。つまり完全に運ゲーのカジノに比べて、半分はスキルの要素を含むのがポーカーなのです。しかしカテゴリー的にはオンラインポーカーもオンラインカジノと一緒でオンラインゲーミングに属します。よって岸田総理が言った「オンラインカジノは違法なもの。」というオンラインカジノはオンラインポーカーも含むのです。これはポーカープレイヤーにとっては痛いことだと思います。総理が言った違法なものをこれから続けていくのかどうか。木原さんもそのことは十分に理解しているとは思いますが、臭いものに蓋をするかのようにこの点には言及していません。私が彼の立場だったら何も言えませんね。

ここ数年若者の間でポーカーブームが沸き起こり、リアルタイムでもよくオンラインポーカーやっている人を見かけ、配信していたりします。しかし彼等はこの日以来急に鍵を掛けてしまったり、動画を削除してしまったり、逃れているような行動が見受けられます。総理の発言をそれだけ重く受け止めているんだなっと思いました。

 

津田岳宏弁護士

弁護士法人コールグリーン法律事務所の津田弁護士です。最高位戦に所属している麻雀プロでもあります。2016年のNetBanqの運営者の逮捕事件では、3人が略式起訴に応じましたが、それすら不服とした1人は不起訴を勝ち取りました。その時弁護を担当していたのが津田弁護士です。津田弁護士の考えでは、単純賭博は社会の風紀を乱すものではなく、一時の娯楽に止まるもので、単純賭博罪は撤廃してもいいという考え方です。

オンラインカジノが仮に違法であったとしても、そのほとんどが単純賭博です。私の経験では一日やっても、勝っても負けてもせいぜい1万円以内に納まる範囲で、健全な遊び方はできてると思います。寧ろ巷のフリー雀荘で打って、動く金の方が大きいくらいです。多少の賭け事は趣味の範囲ですので、私も人がとやかく言うほどのものではないのではと思います。

今回岸田総理の発言「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」には、多少なりともプライドを傷つけられたのではないかと思います。先の述べたようにオンラインカジノプレイヤーの賭博容疑の弁護で、不起訴を勝ち取っているからです。総理の得意な検討もしないで、いきなり違法なものとされている点に、「おいおい。」という感じなのではないでしょうか。しかし今回の件に関しては特に何もコメントをしていません。取り敢えず出方を見てみるか、といったところなのではないでしょうか。

 

岸田文雄総理

もうご存じのように第100代、第101代目の内閣総理大臣です。菅前総理からその座を奪い取った手腕と、去年の衆院の解散総選挙は見事だったと思います。当初の印象は良く、少なくとも菅総理よりはいいのではと期待しました。しかしウクライナ情勢から世界中で物資が止まる状況になり、円もどんどん下がって物価が上がり、この困難に対処しきれてない感じは諫めません。

山岸議員は、今年(岸田首相)、昨年(菅氏)、一昨年(安倍氏)の1月~3月末の答弁など首相発言をチェックし、「検討」「決断」を口にした回数を指摘しました。「決断」は岸田氏7回、菅氏19回、安倍氏29回。「検討」は岸田氏204回、菅氏126回、安倍氏143回だったようです。これを見ても分かるように、岸田総理は多少実行力に欠くのではと思われます。この指摘を受けて、岸田総理は「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言しまったのですが、これは少し口車に乗せられてしまった感じはありました。

恐らく総理はオンラインカジノというものがどういうものなのか分かっていないと思います。ぶっちゃけどうでもいいものなのですが、ハッキリ言って取るに足らないものです。先に言ったパチスロやガチャ、ソシャゲー等同程度のもので、返って一時の娯楽を奪う可能性の方が高いと思います。オンラインカジノだけでなく、オンラインポーカーやブックメーカーのベッティング等も含んでしまうのも大きいです。元々これらもギャンブルだからダメなんだと言われたらそれまでですけどね。いずれにしろ総理にはもっと言葉を慎重に選んで貰いたかったです。

 

オンラインカジノ運営元

オンラインカジノの市場規模は大きく、コロナ禍で更に大きくなりました。元々ギャンブラーにとっては、IRなどどうでもよく、賭けれるサービスが欲しいのです。スマホからでも簡単にアクセスできるため、オンラインとカジノはどうも相性がいいみたいです。オンラインカジノを含めたオンラインゲーミング市場は、2020年に$667億の規模に達しました。そして先に述べましたように日本市場は大きいのです。

よって今回の田口翔容疑者によるスポットの当てられ方は迷惑千万でしかありません。イメージは悪くなるし、対策が取られていつ規制が入るか分からないし、これから常にビクビクしながら運営していかなければならなくなってしまいました。オンラインカジノだけでなく、スポーツブックを扱うブックメーカーや、近年若者の間でブームになっているオンラインポーカーも同類です。そしてそれを利用している人達も当然困るわけです。

しかし岸田総理が違法とは言ったものの、日本ではまだ明確な法整備はできていないので、オンラインゲーミングサービス提供元は、吸い取れるだけ吸い取って、ダメになったらとんずらと言ったところではないでしょうか。

 

決済代行業社

オンラインカジノと利用者の資金のバイパスを担うのが決済代行業者です。いわばこの業態の心臓部と言ってもいいくらい重要な役割を果たしており、彼等無くしてこのサービスの提供はあり得ないのです。代行業者は送金手数料と高い為替手数料で運営しています。為替手数料が高いなっと思ったことは何度もありますが、今回のような事件で真っ先に捜査の目がいくのは彼等なのです。そういったリスクがありますので、為替手数料が多少高いのはしょうがないなと思いました。

ちなみに今回田口容疑者が利用した決済代行業者はAstroPayMuchBetterLa(Jeton)と言われています。それぞれ3500万円余り、400万円、300万円を誤入金された口座から振り替えたようです。阿武町の花田町長の5月24日の会見では、4300万円を確保したと言っていましたので、3社が全額返金したことになります。

恐らく田口容疑者は本人が言うように、決済代行業者からカジノへ入金して全額使ったと思いますが、オンラインカジノのバイパスの役割を果たす決済代行業者の存在自体が違法な可能性があります。これ以上事を大きくして捜査されないためにも、代行業者は自腹を切って返金したのではないかと思われます。そもそも彼等にとってはそれほど痛い金額でもありません。

しかし個人的にはこれは返って拙かったのではないかと思います。当然返って怪しまれるからです。残高が残っていたならその分を返金するのは良かったのですが、これではまるで「我々は悪いことをやっているから、今回は全額返金するのでこれ以上は突っ込まないで。」と言っているようなものです。自分等の行いを悪い事と認めているようなものです。いずれにしろ田口容疑者の件で捜査の目は逃れられない運命にあったと思います。先にも言ったように今回一番割を食ったのは彼等ではないかと思います。

 

オンラインカジノアフィリエイター

アフィリエイトとはネットで商品や商材を紹介して、販売元から手数料をいただいているサービスです。よってオンラインカジノアフィリエイターとはオンラインカジノをユーザーに紹介することで、手数料をいただくという形になります。要はオンラインカジノだけあっても認知度が無ければ、ユーザーはそのサイトに辿り着けませんので、アフィリエイターが自分のサイトでそれを紹介して、自サイトを訪れたユーザーに紹介するという形になります。かく言う私も当サイトでオンラインカジノを紹介していますので、オンラインカジノアフィリエイターということになります。

岸田総理が言うように、オンラインカジノは違法ということになれば、我々も違法行為を助太刀しているという立場になります。しかし先にも言いましたが、私も良くプレイしていますが、オンラインカジノは適切な使い方をしていれば決して悪い物ではなく楽しいものです。ほとんどガチャや課金ゲーと一緒です。控除率がありますので大体負けると分かっていてやるのですが、それでも勝つこともありますし、ちょっとしたドキドキ感は味わっています。その代価として少々の金額を払っても何も違和感はありません。雀荘やパチスロを利用するのと一緒の感覚です。オンラインカジノだってライブカジノやサイト運営に人件費や技術料、ライセンス料は掛かっているのです。決してただでサービスを提供しているわけではありません。

私はたまにゲームのレビューやプレイ日記を書きますが、それなりに楽しんでやっているというのは伝わると思います。それは負けると面白くないですし、その気持ちに脚色はしていませんので、いらだった気持ちも察せられるかもしれませんが、基本的にプレイしている時は楽しんでいます。そしてトータルでは年間で$1000くらいの負け額だと思います。現在$1が140円くらいですので、大体14万円くらいでしょうか。実際はスポーツブックの方も負けていますので、トータルでは20万円くらいだと思います。趣味の一つと捉えれば年間使う金額として決して高くはないと思います。もっとも、もっと使って負ける人もいますし、勝つ人もいます。

今回の田口翔のような金を金とも思わないような賭け方をする者もいますが、かなりの少数派です。自分の金ではないから、無謀な賭け方をしたのではないかと思います。大体の人は金のありがたみを分かっていますし、歯止めが掛かって自分の財布の許容量を超えるような賭け方はしません。適度な使い方でそれなりに楽しんでいるという人がほとんどです。

しかし今回の件を受けてオンラインカジノアフィリエイターもやはり臭い物に蓋という感じで、誰も岸田総理が予算委員会で「オンラインカジノは違法である。」と明言したことに言及しているサイトはありませんでした。(2022.6.10現在)もう言っちゃった事実は変わらないのですから、紹介するならそのこともちゃんと言及した方がいいのですけどね。でないと訪問者をだましているのと一緒だからです。

オンラインカジノアフィリエイターの立場としてもう一回いいますが、2021年6月1日岸田総理は衆院予算委員会で「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言しました。よってオンラインカジノを強く勧めることはしません。寧ろ逮捕されるのではと悩んでいるなら、止めた方が無難と助言します。ただ現行法で本当に違法だと断言できるのかと言われたら疑問の余地がありますし、ガチャや課金ゲー、パチスロと言った実質的には似たようなサービスはいっぱいあります。なんでもかんでもダメにしたらつまらないだろう。自分の金だしな。と言うのが主張です。サービスの本質を知った上で適度な楽しみ方をするのは問題ないのではと思っています。

 

人は皆私利私欲で生きている

どうでしょうか。上で紹介した人達を見ますと、皆欲望というものを感じませんか。田口容疑者は自分の金を増やしたくて、偶然舞い込んだ4,630万円を種銭にしたのです。木曽先生はハコモノカジノを日本で先導したくて、同業他社(言い方は適切でないかもしれません)のオンラインカジノ業界を目の敵にしているのです。

山岸議員は名を挙げたいから、たまたま丁度いいタイミングで出てきた叩きやすいオンラインカジノを槍玉に挙げたのです。木原ポーカープロはオンラインカジノが違法となればオンラインポーカーも違法となるので、この点に言及できないのです。津田弁護士も過去の弁護した不起訴事例を誇りに思っているため、内心総理の発言には面白くは無いけど、表立ってオンラインカジノは合法とも言いずらいので、今のところ見守るより無いのです。

岸田総理もやはりオンラインカジノなど、他に取り組まねばならない課題に比べたらどうでもいいものに違いありませんが、山岸議員の質問の誘導が上手く、体面を保つためにああ言わざるを得なかったのです。オンラインカジノを始めとするオンラインゲーミング提供元は、現在の法に抜け穴のある日本をターゲットにしているのです。決済代行業者やアフィリエイターはその利益の一部にあやかりたくて、送金サービスやサイト展開を行っているのです。

裏を見るとそういうことなのです。これがこの事件の全体像でありからくりなのです。何もこの件に限ったことではないですけどね。

 

どのように取り締まることが予想されるか

さて最も大事な今後の展開ですが、総理は「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言してしまった以上、何らかの措置を行うのは確かだと思います。どのような取り締まり方をするのかは、予算委員会の質疑応答にヒントがあったように、恐らくオンラインカジノへの送金ルートを断ってくる可能性が一番高いと思います。先に述べましたように、ここがやはりこの業界の急所なのです。そうなると将来的には暗号資産のみの取り扱いになるのかもしれません。

また法を変えるということも考えられますが、刑法を変えるのはそう簡単ではありませんので、やはりそれよりもやりやすい送金ルートの遮断の可能性が高いと思われます。まだ少し時間がありますので、オンラインカジノ業界は少し対策を考えておいた方がいいかもしれません。そしてユーザーはいつ送金ルートを断たれて、できなくなってもおかしくないと認識しておいた方がいいです。

インカジ(インターネットカジノ)店はなぜ違法なのか

記事編集日 2020.10.19

インカジ(インターネットカジノ)店の経営者や客が逮捕されたというニュースがたまに出ますが、ここではなぜオンラインカジノは良くて(グレーであるが)、インカジがダメなのかを説明します。

 

インカジ(インターネットカジノ)店はなぜ違法なのか

先々週(2019.11.8)仙台市青葉区国分町で、インカジ(インターネットカジノ)店の経営者2人と客2人など男女計4人が賭博の疑いで逮捕される事件がありました。インカジ店は客にポイントを買わせ、ネットカジノをさせて、ゲーム終了後の残高に応じて換金できるという仕組みだったそうで、3ヶ月前から開店していました。

同様のインカジ店逮捕事例は過去にも多数あり、最初の逮捕例は2006年2月の京都市中京区東木屋町のインカジ店ゴールドラッシュの例に遡ります。店員2人を常習賭博容疑で、客2人を賭博容疑で逮捕しました。その後2007年1月に店員に判決が下り、懲役2年、執行猶予5年、追徴金1億139万円という内容でした。追徴金からして相当儲けていたのではないかと思われます。

店側としては我々がカジノを開いているわけでは無く、オンラインカジノのサーバーは海外にあり、我々に法の及ぶものではないと考え、それを利用する客にも当然違法性は無いと説明していたそうです。要はこのサイトでも言っているオンラインカジノの正当性(実際はグレーゾーン)をそのまま主張していたことになります。

しかし実際このように何件も逮捕されたところを見ますと、オンラインカジノと言えど、国内で客に面等を向かって自分の店で利用させ、カジノゲームの仕組みから利益を上げていたということであれば、逮捕の対象になるのが分かります。

全てのカジノゲームには控除率があるため、長くやれば(大数の法則が働けば)必ずユーザーが負けるようになできています。例えば控除率の最も低いバカラですら2500回もやると、客が勝つことはおろかトントンに持っていくのさえ2.5%となるそうです。残りの97.5%は金額に差こそあれ、店側の勝ちです。

自分等はいくらカジノゲームに直接関わっていないとしても、客からこの仕組みにより利益を上げていたのであれば、それは違法なのも十分頷けます。例えばチップが現金に還元できない、ただ楽しむだけのカジノカフェがあったとします。客が来るかどうかは別として、これ自体は違法でも何でもありません。客は長く遊べば大数の法則が働き大体チップを減らします。第三者がこれを利用して、チップ換金代行業を務めれば、カジノの仕組みを利用して利益を得たことになり、賭博は明らかでその者が逮捕されるのは当然と思えます。

一方客の立場からするとどうなのかと思いますが、その場で換金できるとあれば、国内でカジノをしたのと何ら変わらなく違法性に該当するのも頷けます。

インカジ店を合法と見なすと極論、個人でカジノ店を運営できてしまうのです。そのカジノはオンラインカジノですので、ディーラーをはじめとする従業員は必要ありません。プレイヤーのイカサマを警戒する必要もありません。店としては楽にカジノの控除率より利益を上げることができてしまいます。これはどう考えても違法なのが分かるかと思います。必要的共犯(対向犯)という見地からも説明できてしまいます。(インカジ店が実質的に胴元で客がその利用者。)

インカジ店は違法なのかが分かったと思いますが、ここで改めてオンラインカジノを家でやるのはどうなのかを考えてみます。胴元は海外にサーバーを置いていますので、国内から違法性を持ち出して逮捕するわけにはいきません。それに伴い客にあたるプレイヤーは決済ツールを利用して換金できてしまいますが、対向犯の見地から違法性は微妙となってしまいます。そしてまだ国内でオンラインカジノの利用を取り締まる法律が無いので、オンラインカジノの利用自体がグレーゾーンです。言い換えると利用者を裁きにくいのです。これはオンラインカジノの違法性と逮捕を見てもその結果から分かるかと思います。その上個人のパソコンからオンラインカジノの利用を取り締まるのは現状では大変難しいです。インカジ店では現行犯逮捕できるのと対照的です。

まとめますとインカジ店は国内のカジノ性が高い上、現行犯になってしまいますので経営は勿論利用客も違法性に該当することを肝に命じて下さい。一方家からオンラインカジノを利用するのはグレーゾーンですので自己責任でプレイして下さい。

 

インカジと闇カジノの違い

日本で個人がカジノを営業するのは当然違法で、賭博開帳図利罪に問われます。闇カジノは隠れてカジノ営業するわけで当然違法行為です。インカジは上記の理由から違法となります。インカジは広義の意味で闇カジノに含まれると思いますが、営業形態的に違いがあります。

インカジはあくまでインターネットを利用したカジノサービスを提供しているため、店側は直接はカジノゲームには携わっていません。このため摘発された場合は常習賭博容疑にかけられます。一方闇カジノは自分等でテーブルを立て店側のディーラーもいますので、直接カジノゲームに携わっています。このため摘発された場合は賭博開帳図利容疑にかけられます。客はいずれの場合も現行犯のみの逮捕となり、単純賭博容疑にかけられます。

店舗状況としてはいずれも厚手のシャッターなどで外部を覆うか地下での営業が主で、大規模なものではありません。はっきり言ってしまえばショボイものです。外には見張りがいます。客は通常会員制で、会員になるためには紹介が必要か、キャッチに近づいて身分証などを提示しなければなりません。売上はカジノゲームの性質上大きいです。闇カジノのゲームはバカラか違法スロットであるところがほとんどです。そして売上金の一部が暴力団に流れていくところもあります。

 

刑法第185条(単純賭博罪に関して)

賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

 

刑法第186条(常習賭博罪と賭博開帳図利罪に関して)

1、常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。

2、賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

 

インカジ店・闇カジノの摘発事例

2006年2月23日 京都市中京区東木屋町のインターネットカジノ店「ゴールドラッシュ」の店員2人(常習賭博容疑)と客2人(賭博容疑)を逮捕。翌年1月店員に判決が下り、懲役2年、執行猶予5年、追徴金1億139万円。

2015年5月13日 横浜市中区伊勢佐木町のカジノバカラ店「SPICE(スパイス)」の経営者中村崇嗣容疑者(35)と従業員4人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客9人を賭博容疑で任意同行。3月下旬に開店し売上は1日300万円ほど。

2017年11月20日 東京都渋谷区道玄坂のインターネットカジノ店「ウォーリー」など2店を摘発し、海野健容疑者(44)ら16人を常習賭博で逮捕。ライブバカラの映像を使って賭博をさせた疑いで、2月より営業し総売上は2億1600円ほど。

2018年4月13日 東京都新宿区歌舞伎町1丁目のカジノバカラ店(2台)「ペアペア」の経営者坂本政彦容疑者(59)とパチスロ店(50機)「ソーキソバ」の経営者笈田悟(45)と他従業員2人を賭博開帳図利容疑で逮捕。2店は同系列で、客5人も賭博の疑いで逮捕。

2018年6月13日 横浜市中区福富町仲通の7階建て雑居ビル7階のゲーム機賭博店「タイガー」でパチスロ機(42台)を使って賭博をさせたとして原田幸子容疑者(45)と佐藤勝容疑者(36)を常習賭博容疑で逮捕。

2018年6月22日 東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビルで客にバカラ賭博や違法スロットをさせたとして「フラワー」の責任者阿佐美利光容疑者(49)と「クランキー」の責任者大畑亮二容疑者(31)ら15人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客13人も賭博の疑いで逮捕。2017年6月頃より経営し売上は一ヶ月で2000万円ほど。売上金の一部は、指定暴力団住吉会の傘下団体に流れていた疑いがある。

2018年6月29日 東京都渋谷区道玄坂のパチスロ賭博店「JAC」でパチスロ機(39台)を使って賭博をさせたとして撹上容疑者(48)ら従業員3人を常習賭博容疑で逮捕」。客3人も賭博の疑いで逮捕。今年の3月から開店し売上は1日40万円ほど。

2018年7月2日 横浜市中区相生町の雑居ビル地下1階にあるカジノ賭博店「Gets(ゲッツ)」でバカラ賭博(4台)やスロット(5機)をさせたとして店長の岡本高浩容疑者(34)と従業員3人を賭博開帳図利容疑で逮捕。前年の9月に開店し総売上は5億4千万円ほど。

2018年11月29日 東京都新宿区歌舞伎町でタブレット端末を使ったデジタルバカラ台で客に賭博をさせたとして嵯峨隆由容疑者(43)と従業員7人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客3人も賭博の疑いで逮捕。半年間開店し総売上は1億4千万円ほど。嵯峨隆由指定暴力団住吉会傘下団体と関係があり、デジタルバカラ台を開発し特許登録もし、全国の違法カジノ店に販売するつもりでいた。

2020年10月16日 歌舞伎町の雑居ビルでバカラ賭博をさせたとしてカジノ店店長の斉藤大心容疑者(43)ら男女6人と客2人が逮捕されました。今年1月から週に6日間営業し、緊急事態宣言中もアングラバカラにコロナは関係ないと客に伝え、ひと月に700万円ほど売り上げていました。

オンラインカジノの違法性と逮捕

ここではオンラインカジノの違法性について、これまでの事例から考えてみようと思います。

 

NetBanq運営者逮捕の件

2016年2月16日、千葉県警サイバー犯罪対策課はオンラインカジノ決済代行会社であるNetBanqの運営者椎原宰(つかさ)容疑者(53)を主犯格とし、常習賭博容疑で逮捕送検しました。椎原容疑者はフィリッピン在住ですが、14日帰国したところ逮捕されました。他にも埼玉に住む通信会社役員益田伸二(50)、自称会社員島田賢一(43)を同容疑で逮捕しました。同課は主犯格を24時間中監視しており、6人による組織的犯行と見ていました。

NetBanqはジパングカジノ系列の決済サービスで、椎原容疑者を主犯格とするグループは他にもZ-Banq、VIP-Banqを運営していました。容疑者は全国の客約1600人を周旋して、23億2800万円を賭けさせ、約10億4400万円もの収益を上げていたと見られています。無店舗型カジノに関して賭博罪を適用したのは全国初となります。

同課は別の犯罪容疑で逮捕した男がこの件にも絡んでいたことから、益田容疑者を割り出したようです。益田容疑者等は事実を認めるも、決済代行をやっていただけで賭博にはあたらないと容疑を否認しています。顧客リストを手に入れた千葉県警は2016年~2017年まで、NetBanqを利用していた人数名にも家宅捜査をしました。

同課は資金の入出路からNetBanqを胴元と考え、顧客を必要的共犯の関係で両者を摘発できると踏んだようです。実際何人かのプレイヤーは書類送検され、略式起訴となりました。略式起訴とは軽犯罪の場合それを認め、10万~20万円の罰金を支払う代りに起訴されないというもので、要は無罪で前科も付きません。それを受け入れるものもいましたが、それすら不服とする人もおり、裁判で戦う姿勢を見せました。そして2017年新年早々不起訴を勝ち取りました。その時弁護を担当した麻雀プロでもある津田弁護士は、同じ賭博罪でも単純賭博罪と賭博場開張図利罪は軽重に差がありすぎて、前者は撤廃するべきであると主張しています。尚三容疑者がその後どうなったのかは情報がありません。

 

必要的共犯(対向犯)という考え方

以前よりオンラインカジノの違法性に関して、運営している胴元が海外にサーバーを置き、正当にライセンスを所持して合法的に運営しているため、当然日本の警部が逮捕できる立場にあるわけではないのに、それを利用している日本人を逮捕できるのかという問題がありました。賭博罪はそもそも賭博を開帳している胴元とそれを利用する客のセットでないと成り立たないのは言うまでもありません。一人で賭けはできませんからね。片側だけ逮捕というわけにもいかないのです。これを必要的共犯(対向犯)と言います。

津田弁護士の言うように賭博場開張図利罪は重罪であるが、単純賭博罪はそれに付随的なもので、胴元の検挙が目的にすぎないのです。それなのに賭博場開張図利罪である胴元が逮捕されないのに、その客が単純賭博罪で逮捕されるのも枝葉末梢な感じです。

 

スマートライブカジノの日本人ユーザー逮捕の件

2016年3月10日、スマートライブカジノ日本人プレイヤー3人が単純賭博容疑で京都府警に逮捕されるという事件がありました。日本での無店舗型のカジノでの逮捕は初となります。

当時スマートライブカジノとは、日本人ディーラーが出てきたり、出てくる時間帯を日本時間の夜~深夜に設定したりと、日本人を明確にターゲットにしたかなり思い切ったオンラインカジノでした。府警はこれを事実上日本人向けに提供したカジノと判断したわけです。

それまでは(今もそうですが)、ネットカジノは法の目を潜り抜けたオンラインギャンブルで、知る人ぞ知る人のみがひっそりとPCで楽しむのが普通でした。オンラインカジノも海外で運営されており、勿論日本がギャンブル禁止国なのは承知の上で、慎ましく入ってきた感じでした。オンラインカジノもユーザーも、決して表立って目立って活動しようとは思っていなかったのです。

しかしオンラインカジノが増えるに従って客の奪い合いが激化し、スマートライブカジノのような日本の法に対して挑発的なカジノが出てきてしまったのです。私も出てきた当初は「ここまでやるか。」「これはやばいんじゃないの。」という印象を受けました。

普通ライブゲームのディーラーは外国人で日本語はしゃべれません。チャットはできますが英語です。しかしディーラーが日本人女性となればその障壁は無くなり、当然日本人ユーザーは増えていきます。しかもチャットはユーザー間でもできてしまう環境でした。

そこに目を付けた府警が潜伏して、チャットで相手からいろいろ聞きだし、ツイッターや個人情報を特定し、クレジットカードの使用履歴と確認して逮捕に至ったというわけです。オンラインカジノ内でこのような環境を提供するのもどうかと思いますが、しゃべる方もしゃべる方だと思いました。先にも書きましたようにネットカジノはひっそりとやりものなのに、堂々と個人情報を特定されてしまうようなことを、どこの誰かも分からない人にチャットで話してしまうのですからね。また3人は自身のブログで、IDやプレイ履歴の公開など全てが公開状態であったためそれも証拠として残ってしまったそうです。

こうして埼玉県越谷市の制御回路製作会社経営関根健司(65)、大阪府吹田市の無職西田一秋(36)、埼玉県東松山市のグラフィックデザイナー中島悠貴(31)の3容疑者を逮捕するに至ったわけです。

刑法第185条:賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

3人はその後略式起訴となりました。

 

ドリームカジノの運営者逮捕の件

2016年6月10日、京都府警は大阪市中央区本町橋の会社役員ら実質運営者5人を逮捕したと発表がありました。無店舗型のカジノ運営者が逮捕されるのは国内初となります。容疑者等は共謀して大阪市天王寺区に事務所を設け、オンラインカジノのドリームカジノを運営し、2013.12~2016.3まで不特定多数の客を集め、お金を賭けて遊ばせたとしています。会員数は約9500人、賭け金の総額は約19億2600万円に上がります。

ドリームカジノはキュラソーライセンスを受けていることがサイト内に記載され、キュラソー島で運営されているはずですが、サポートは日本語のみで行われていたことから国内で運営されていると判断したそうです。

私もこのカジノは知っていましたが、当初から妙に日本人慣れして、明らかに日本市場を狙って立ち上げられたカジノだろうと思っていました。恐らくライセンスは本物だろうと思いますが、よく取れたなと思いました。キュラソーで住所を持ってライセンスを取ったのだとは思いますが、それを海外に持ち出して運営されるのでは発行元のキュラソーにも問題があると思いました。しっかり監査していなかったのですからね。

6月30日には京都地検は内2人を常習賭博罪で、内2人を常習賭博幇助罪で起訴し、内一人は起訴猶予にしました。起訴状によりますと役員等は海外に設置されたサーバー上のドリームカジノを大阪市天王寺区で運営し、客にポーカーやルーレット等をやらせたということです。

9月14日、京都地裁で3人に判決があり役員に懲役3年(執行猶予4年)、750万円の没収、他2人に懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)を言い渡しました。

形式的にサーバーが海外にあるとは言え、実質的に国内でオンラインカジノを運営するのはやはり違法でした。むしろ何で賭博開帳罪で無く、常習賭博罪なのか不思議なところです。

その後ドリームカジノは閉鎖されましたが、1年以上経ってユーザーにはカリビアンカジノを経由して残高の分を支払ったそうです。

 

自宅でプレイするオンラインカジノにおける政府の見解

2013年衆議院の質問答弁にて、自宅でプレイするオンラインカジノでも違法なのではないかという質問がなされました。以下質問と回答です。

賭博罪及び富くじ罪に関する質問主意書の一部:国内の自宅からインターネットを通じて海外のカジノに参加する場合であっても刑法第185条の賭博罪に該当するという理解でよいか。

政府の回答:犯罪の成否については捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断するべき事柄であることから、政府としてお答えすることは差し控えるが、一般論としては賭博行為の一部が日本で行われた場合、刑法第185条の賭博罪が成立するものと考えれれる。

要は政府でもはっきり分からないが、証拠次第では賭博罪は成立するという解釈でいいかと思います。

 

まとめ

2016年はオンラインカジノ業界にとっては震撼となる年でした。私としては、個人で遊技で小額を賭けて自宅で慎ましく遊ぶ分には全然問題ないと思うのですが、日本は今までの文化からどうもギャンブルに対しては厳しいようです。大人の遊びですから多少お金を賭けてそこにスリルを求めるのも、一時の娯楽に供する物と見なしていいような気もするのですが何か目くじらを立てる感じですよね。正直全く賭け事のない文化って古今東西無かったと思いませんか。もしあったとしたら寧ろ気持ち悪いくらいです。

国内でオンラインカジノを運営するというのはさすがに拙いですが、不起訴という結果から考えてもオンラインカジノユーザーを現状の法律で罰するのは難しいみたいです。恐らく自宅でこっそり楽しむ分には問題ないと思いますが、グレーゾーンですので大きく勝った画像をブログに載せたり、SNS等で個人が特定されるような行為はしない方がいいです。

オンラインカジノは政府でも白黒はっきりしないようなグレーゾーンですので個人でやられる方は自己責任にてお願いします。