山口県阿武町の山口翔への誤送金問題と岸田総理のオンラインカジノの取り締まり

2022年4月8日、阿武町が住民税非課税世帯への新型コロナの臨時特別給付金として、全463世帯へ10万円ずつ支給するはずだったのが、銀行に誤った依頼をして、一人に全世帯額の4,630万円を振り込んでしまいました。阿武町はその男性に返して貰えるようにお願いするも返して貰えず、男性は全額をオンラインカジノで使ってしまいました。

その後阿武町は、男性が振り替えたオンラインカジノの決済代行業者から返金して貰えるも、今までグレーで表立ってこなかったオンラインカジノ業界に世間からスポットを当てられることとなってしまいました。田口翔容疑者は電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕され、6月1日の衆院予算委員会では山岸議員の厳しい追及により、とうとう岸田総理の口から「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」とオンラインカジノ業界関係者を震撼させる言葉が出てしまいました。

今回はこの事件のあらましを時系列でまとめてみて、衆院予算委員会での質疑応答を見て感じたこと、これらの事件で重要だと思われる人の動向、事件の全体像とからくり、今後どのように取り締まりが行われることが予想されるのかをまとめてみました。

 

時系列

2022.4.8 山口県阿武町の職員が、住民税非課税世帯への新型コロナの臨時特別給付金として、全463世帯へ10万円ずつ支給するはずのところを、その他に、誤って一人に全世帯分の4,630万円を振り込んでしまう。その時銀行へはフロッピーディスクで依頼。振り込んだ後銀行側が阿武町に確認して誤りであったことが発覚。その日のうちに副町長が振り込まれた男性に謝罪して返金して貰えるようにお願いするも、応じて貰えず。

4.14 副町長と男性の母親が説得しに行くもやはり応じず。

4.20 男性が務めていたホームセンターを退職する。その間に別口座(決済代行業者)へ、振り込まれた4,630万円を全額、計34回に渡って移す。

4.21 再び副町長が男性宅へ訪れると、「お金は口座から動かし、戻せない。罪は償う。」と言われ、この後男性と連絡が取れなくなる。

4.22 阿武町は記者会見を開き、誤って一人に4,630万円を振り込んでしまって、まだ回収できていないことを発表する。

記者会見で頭を下げる花田憲彦町長(左)と中野貴夫副町長(右)

5.12 阿武町が返金に応じない男性を提訴すると言って男性の名前と住所を公表する。田口翔(24)、阿武町大字福田下3437番地

5.16 男性の弁護士が顔出しNG・実名公表無しで会見し、返金ができないことを伝える。

5.17 阿武町が男性がオンラインカジノで全額使ったと説明受けたことを明かす。

5.18 田口翔容疑者が電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕される。

田口翔(24)

5.23 田口翔容疑者が使った3つの決済代行業者のうち1つが、27回に渡って入金した3,590万円全額を阿武町に返還していたことが分かる。

5.31 その後も回収され4,630万円のうち9割が回収された。3社の口座には計約600万円しか残っていなかった模様で、決済代行業者が自腹を切った可能性が高い。

6.1 衆議院予算委員会の集中審議で、立憲民主党 山岸一生議員の「よもやオンラインカジノを放置したまま箱物カジノを認可する、このまま進めていくってことはこれはありえないと思いますけども総理ご決断をお願いいたします」に対し、岸田総理はオンラインカジノについて「違法なものであり、関係省庁と連携し厳正な取り締まりを行う」と明言する。

 

突然世間に脚光を浴びたオンラインカジノ

オンラインカジノに関しては今更ながら当サイトで説明するまでもありませんが、海外で運営されているカジノサイトで、そこへ入金し、そこで遊んで、そこから出金できるサービスです。ウェブ上なので日本からもできてしまうところが問題ですが、必用的共犯(対向犯)という観点から、日本では一概に黒とも言えなくグレーなものとして、知る人ぞ知るという感じで利用されてきました。

 

そして判明したのが何と日本は隠れオンラインカジノ大国で、オンラインカジノアクセス数が世界で4位なのです。

 

近年コロナ禍で巣ごもり消費が増える中で、オンラインカジノの国内利用者は200万人を超えると言われ、これは日本の公営ギャンブルに匹敵する数です。

カジノゲームは主に、スロットやブラックジャック、バカラ、ルーレット等です。元々カジノゲーム自体ハウス側(カジノ側)が有利にできており、長く遊ぶとほぼ誰も勝てなくできています。しかし控除率は3%くらい(還元率は97%くらい)で、公営ギャンブルに比べて大分低く、大数の法則が収束するのに時間がかかります。よって一時的に勝利額がプラスになることは珍しくありません。

オンラインカジノのゲームの仕組みはハコモノカジノと一緒です。オンラインカジノはよくイカサマを疑われますが、何のことは無く、元々カジノ側に有利なゲームにただ大数の法則を働かせて利益を上げているだけなのです。そしてどのゲームにも還元率は記載されています。オンラインカジノは正々堂々とそのサービスを提供し、ユーザーもそれ(ゲーム自体多少プレイヤーに不利にできている)を承知して遊ぶのです。一種のサービスで、その良し悪しは利用者次第ということになります。但しオンラインである以上、スマホからでも簡単にアクセスできてしまうので、46時中制限無く遊べてしまうのはいささかいき過ぎてる気はしますけどね。

 

オンラインカジノで数日で4,630万円もの金を使えるのか

結論から言えば十分使えます。田口翔容疑者は数日で溶かしたそうですが、数分で溶かす可能性すらあります。

これはEvolution Gamingのバカラのサロンテーブルですが、要はハイローラーのためのVIPテーブルで、賭け金が$1,000~50,000とあります。日本円に換算しますと129,820円~6,491,000円となります。(129.82円/$ 2022.6.3 15:00時点。)つまりMaxベットで7回負けると、ほぼ溶けてしまうことを意味します。バカラの1ゲームは1分もかかりませんので、少し負けが続くと4,630万円ぐらいはすぐに溶けることは容易に想像つくと思います。

要はカジノそのものなので、その感覚で考えれば4,630万円など一溜まりもないのです。勿論逆もあり、大王製紙前会長の井川意高は150万円を4時間半で22億円にしたこともあるそうです。

最もこれらはハイローラーのケースで、我々庶民は$1賭けて$100も負ければがっくりきますけどね。オンラインカジノはこのように、人に応じて低額~高額までベットできるのです。

 

オンラインカジノの決済代行業社とは

オンラインカジノで遊ぶためにはオンラインカジノに入金しなければいけません。しかしオンラインカジノはグレーであるため、クレジットカード会社が受け付けてくれないのです。また直接銀行送金もありますが、オンラインカジノは海外で運営されており、海外送金になてしまいます。これは時間がかかったり、英語ですのでハードルが上がってしまいます。そこで決済代行業社が出てくるのです。決済代行業社は国内に口座を持ており、ユーザーはその口座に入金すれば、後はそこからオンラインカジノへ入金することができます。つまりユーザーとオンラインカジノの資金のやり繰りを仲立ちするのが決済代行業社なのです。具体的にはAstroPay、エコペイズ、アイウォレット、Hi-BANQ等がそれに当たります。

オンラインカジノの国内から利用は違法である可能性がありますので、当然オンラインカジノへ資金の流れを幇助する国内の決済代行業者も、違法である可能性があります。よって決済代行業者は金融庁に登録されているかも怪しいもので、個人で目立たないようにやっているか、或いは登録されていても別の名目になっていると思われます。

今回田口翔容疑者が使った決済代行業者は3社で、3社の口座には計約600万円しか残っていなかったようです。つまり本人が言ったように、やはり大部分はオンラインカジノで使ってしまった可能性が高いです。しかしそれでも決済代行業者が自腹を切ってでも速やかに返金したのは、自分等の存在を突っ込まれると痛いからに他ならないと思いませんか。決済代行業者が使っている国内口座は、金融庁が調べればすぐに分かりますので、捜査されて何らかのぺナルティを受ける可能性が高いです。オンラインカジノの決済代行業者はそれなりにリスキーで、自分等も分かっていたことと思います。今回の件で一番割を食ったのは決済代行業だと思います。

 

パンドラの箱を開けてしまった田口翔

1:52より山岸議員の岸田総理へのオンラインカジノに関しての質疑応答があります。

2022.6.1衆院予算委員会での、立憲民主党の山岸一生議員の、岸田総理への質問です。注目は岸田総理が「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言したことです。遂に来るべき日が来てしまったかという感じですね。今までグレーだったオンラインカジノが田口翔容疑者の件でスポットライトを当てられてしまい、白黒つけねばならなくなってしまったということです。以下はこの質疑応答に対しての私の感想です。

まず山岸議員の質問がキビキビしていいですね。新人議員にしてはキレキレだったと思います。しかし驚いたのは、山岸議員がオンラインカジノは国内でプレイすることは違法と明言していることです。刑法の賭博罪を構成すると言っていますが、これは先にも述べましたように議論の余地があるのです。しかし質問の持っていき方は上手いと思いました。

政府の考え方としては、ギャンブル依存症対策は合法的なギャンブルに対して行い、違法のものに関しては取り締まりを行うと言っています。山岸議員は、総理にオンラインカジノ取り締まり対策の提案として、金の流れを止めると言っています。ここで決済代行業者が持ち上げられるのですが、さすがに鋭い所を突いてくるなと思いました。送金システムこそオンラインカジノの急所中の急所だからです。

もう一つ疑問に感じたのは、山岸議員はオンラインカジノを指して、違法なものから国民の健康と財産を守るのが政治の責任とありますが、違法かどうかはまだはっきりしていなく、指している財産というのは、国のものではなく国民のものだから、どのサービスを利用するかは国民の権利なのではないかということです。見方を変えるとかえって人権を侵害しているような気さえします。

パチンコは3店方式なんてこじつけて違法ギャンブルの部類から逃れていますが、これはおかしいですよね。カジノをこれと同じからくりにして国内で個人で営業すれば、間違いなく賭博場開張図利罪で逮捕されます。ガチャやソシャゲーもオンラインカジノとは違えど、同じ実態のないサービスを提供しており、似たようなサービスだと思いませんか。普通に考えてもオンラインカジノを取り締まるなら、これらも取り締まってもいいような感じがします。

そして山岸議員はオンラインカジノを指して社会の脅威と言っていますが、これは明らかに言い過ぎで、実際は健全な付き合い方ができている人が利用者の大多数を占めると思います。私がパチスロで1万円負けようが勝とうが、彼等には無関心だと思いますが、それと何ら変わるところはありません。寧ろそちらの方がオンラインカジノで動く金より大きいくらいです。

岸田総理はハコモノカジノを指して、他の施設も含めて家族で楽しめる複合施設(要はIR)にすると言っていますが、他国の例で見てもそれらの施設単独で利益を出すのは難しく、カジノの大きな収益で補填しているようなので、実際はそれらの施設は集客装置或いはカジノのカモフラージュといったくらいのものです。

そして極めつけは岸田総理も「オンラインカジノは違法のものであり、関係省庁と厳正な取り締まりを行わなければならない。」と言っています。実際は阿武町の誤送金問題でオンラインカジノ等昨日今日知ったくらいの知識だと思いますが、山岸議員の口車に上手く乗せられてしまった感じがします。こういう結論を出さねばならないくらい、山岸議員の質問の誘導が上手かったと思いました。

これらの質疑応答はオンラインカジノが違法であることが前提に行われていますが、オンラインカジノを国内で利用することは本当に違法なのでしょうか。違法なら現行法で刑法のどの部分に抵触し、どれぐらいの罪になるのでしょうか。過去の検挙事例では3人が略式起訴、1人だけそれを受け入れず法廷で争う姿勢を示し不起訴処分となっています。山岸議員がオンラインカジノは違法と先に言ってしまいましたが、これは答えだけ書いた数学の答案のようなもので0点だと思います。私がそれを聞いた時、そこまで飛ぶかと思いました。そもそも違法ってハッキリしてるなら、なぜ今まで取り締まらなかったんだと突っ込みたくもなります。

 

一連の騒動に対する重要と思われる人物

田口翔容疑者

今回の事件の渦中の人です。恐らく今最も日本で注目されている一人ではないでしょうか。2020年の秋、空き家バンクを活用して出身の山口市から移住してきたそうです。阿武町の非課税世帯463世帯の1世帯に含まれ、新型コロナ対策で10万円給付されるところを誤って4630万円振り込まれ、返金しなければならないのにオンラインカジノにほぼ全額摩ってしまった張本人です。

5月18日、電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されました。その後田口容疑者が送金したオンラインカジノの決済代行会社3社からほぼ9割方返金され、今後どういう身の振り方をされるのかに注目が集まっています。

この騒動でグレー(法律的に合法か違法区別のつかない)のオンラインカジノにスポットが当たってしまい、世間に対して少なからずオンラインカジノに悪い印象を与えてしまい、山岸議員の格好の的となってしまい、業界関係者を慌てふためかせました。

出所後は業界関係者から命を付け狙われるのではないかとも噂されています。しかし私の考えではオンラインカジノの法的な問題はいずれ提起されると思っていましたので、それが少し早かったというだけで、そこまではいかないと思います。しかしいろいろと迷惑な人でしたね。黙って返金していれば何事も無かったのにと思います。

 

木曽崇先生

今回一連の騒動で最も得をした人です。(少なくとも気分的には。)国際カジノ研究所長で、日本ゲーミング協会の代表理事という肩書です。今回の予算委員会の山岸議員を陰で全面にサポートしていることを自ら言っていました。木曽先生は従来からオンラインカジノアフィリエイターに目くじら立ててきた節がありますが、今回の件で鬼の首を取った感じで、さぞ酒が旨いのではないでしょうか。阿武町の誤送金事件でオンラインカジノが悪い意味で世間に知れ渡ることとなり、この機にオンラインカジノ業界を一網打尽にするチャンスだと思ったに違いありません。山岸議員はオンラインカジノの業界に関しては恐らく素人だと思いますが、国会の質疑では話の組み立て方からして上手いと思いました。しかし先生が入れ知恵をしてたならそれも頷けます。

ここで一つ疑問ですが、ではなぜ先生はオンラインカジノ業界(特にアフィリエイター)を毛嫌いしているのでしょうか。個人的な恨みというよりもこの業界全体に対して向けられている感じです。以下私の推測ですが、まずは先生の経歴を見てみます。

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査部内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。とあります。

とても輝かしい経歴ですね。勿論カジノ推進派で、ハコモノカジノの先導者と言っても過言ではありません。そしてネバダ大学で学んだことに自分の味を加えて、日本のカジノを牽引していきたいという願望を汲み取ることは容易にできます。そうなるとオンラインカジノは邪魔になりますね。なぜならオンラインカジノは海外のサイトで、彼等の蚊帳の外だからです。日本のカジノ事業は彼等が独占したいのです。

本来なら彼等に流れていくはずの収益がオンラインカジノに流れていってしまっては面白いはずがありません。そして日本のハコモノカジノ(まで建設地すら決まっていない)と世界のオンラインカジノ(ネットであふれかえっている)を比較してみたら規模が違いすぎます。これでは仮にカジノができたとしても、利用者は利便性のいいオンラインカジノに流れて言ってしまうのは容易に想像できます。そもそもカジノ建設がうやむやになってしまう可能性すらあり、手をこまねいているのと思われます。

ただオンラインカジノ自体は海外で合法的に運営しているため、彼等ではどうすることもできません。そうなるとそれを仲介している、日本のオンラインカジノアフィリエイターに向くのも自然だと思います。「俺のシマで、俺を蔑ろにして勝ってなことをしてるんじゃねー。」って言いたいのだと思います。

しかしハコモノカジノもオンラインカジノもカジノはカジノで、カジノゲームに関しては全く同じサービスなのです。ハコモノが良くてオンラインはダメというのも何かおかしい気がしませんか。そして多くの人もそう感じると思います。カジノを解禁するなら、どちらをやるかはユーザーに選ぶ権利があってもいいと思います。先生の言い分は如何にももっともらしく聞こえますが、時折垣間見える矛盾はやはり己の利己主義が存在するからに他無いと思います。

 

山岸一生議員

2021年東京9区より初当選した立憲民主党の山岸一生議員です。前職は朝日新聞記者でした。スキャンダルの噂もありますが、ここでは割愛します。カジノ反対派です。今回の予算委員会では、ハコモノカジノ推進派だけどオンラインカジノ反対派の木曽先生と手を組む形で、オンラインカジノを槍玉に挙げました。阿武町の件で悪役有名になったオンラインカジノは、今回の山岸議員のいい標的だったのではないでしょうか。本人の主張も一致していますし、叩きやすいからです。政治家としての経験はまだ浅いですので、世間に対していいアピールになったのではないかと思われます。

しかしこんな事言っては悪いですが、あくまでアピールのネタということで、内心はどうでもいいと思っているはずです。なぜならオンラインカジノ業界は確かに市場規模は大きいですが、ほとんどのユーザーはオンラインカジノと健全な付き合い方ができているからです。一部今回の田口翔容疑者のように、身を崩すような賭け方をする人もいると思いますが、多くのユーザーは身の丈に合わせて楽しんでいます。山岸議員も今まで全く賭けをしたことが無いということは無いと思いますが、それと同じ趣味なのです。日本のパチスロと本質は一緒です。

 

木原直哉ポーカープロ

東大出身のポーカープレイヤーで、2012年WSOP(ワールドシリーズオブポーカー)のポットリミットオマハシックスハンデッドで優勝し、賞金$51万とブレスレットを獲得しました。運と実力の間は私も読みました。ポーカーで稼ぐという意味を分かっている人で、ポーカーの勝負をビジネスととらえている人です。

そしてそれはリアルに止まらず、オンラインポーカーでも一緒です。そして現在は残念ながらオンラインポーカー無くしてポーカーの上達はありえません。彼もこれで強くなり、推奨していました。短時間で多くのハンドを経験し、ハンド履歴が見返せ、世界中の強いプレイヤーといつでもどこでも対戦できるからです。

オンラインポーカーはオンラインカジノとは少し違い、ユーザー間でリアルマネーでポーカーし、運営元はレーキ(ゲーム代)を徴収するという仕組みです。プレイヤーの腕がレーキを上回った時利益が出ます。つまり完全に運ゲーのカジノに比べて、半分はスキルの要素を含むのがポーカーなのです。しかしカテゴリー的にはオンラインポーカーもオンラインカジノと一緒でオンラインゲーミングに属します。よって岸田総理が言った「オンラインカジノは違法なもの。」というオンラインカジノはオンラインポーカーも含むのです。これはポーカープレイヤーにとっては痛いことだと思います。総理が言った違法なものをこれから続けていくのかどうか。木原さんもそのことは十分に理解しているとは思いますが、臭いものに蓋をするかのようにこの点には言及していません。私が彼の立場だったら何も言えませんね。

ここ数年若者の間でポーカーブームが沸き起こり、リアルタイムでもよくオンラインポーカーやっている人を見かけ、配信していたりします。しかし彼等はこの日以来急に鍵を掛けてしまったり、動画を削除してしまったり、逃れているような行動が見受けられます。総理の発言をそれだけ重く受け止めているんだなっと思いました。

 

津田岳宏弁護士

弁護士法人コールグリーン法律事務所の津田弁護士です。最高位戦に所属している麻雀プロでもあります。2016年のNetBanqの運営者の逮捕事件では、3人が略式起訴に応じましたが、それすら不服とした1人は不起訴を勝ち取りました。その時弁護を担当していたのが津田弁護士です。津田弁護士の考えでは、単純賭博は社会の風紀を乱すものではなく、一時の娯楽に止まるもので、単純賭博罪は撤廃してもいいという考え方です。

オンラインカジノが仮に違法であったとしても、そのほとんどが単純賭博です。私の経験では一日やっても、勝っても負けてもせいぜい1万円以内に納まる範囲で、健全な遊び方はできてると思います。寧ろ巷のフリー雀荘で打って、動く金の方が大きいくらいです。多少の賭け事は趣味の範囲ですので、私も人がとやかく言うほどのものではないのではと思います。

今回岸田総理の発言「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」には、多少なりともプライドを傷つけられたのではないかと思います。先の述べたようにオンラインカジノプレイヤーの賭博容疑の弁護で、不起訴を勝ち取っているからです。総理の得意な検討もしないで、いきなり違法なものとされている点に、「おいおい。」という感じなのではないでしょうか。しかし今回の件に関しては特に何もコメントをしていません。取り敢えず出方を見てみるか、といったところなのではないでしょうか。

 

岸田文雄総理

もうご存じのように第100代、第101代目の内閣総理大臣です。菅前総理からその座を奪い取った手腕と、去年の衆院の解散総選挙は見事だったと思います。当初の印象は良く、少なくとも菅総理よりはいいのではと期待しました。しかしウクライナ情勢から世界中で物資が止まる状況になり、円もどんどん下がって物価が上がり、この困難に対処しきれてない感じは諫めません。

山岸議員は、今年(岸田首相)、昨年(菅氏)、一昨年(安倍氏)の1月~3月末の答弁など首相発言をチェックし、「検討」「決断」を口にした回数を指摘しました。「決断」は岸田氏7回、菅氏19回、安倍氏29回。「検討」は岸田氏204回、菅氏126回、安倍氏143回だったようです。これを見ても分かるように、岸田総理は多少実行力に欠くのではと思われます。この指摘を受けて、岸田総理は「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言しまったのですが、これは少し口車に乗せられてしまった感じはありました。

恐らく総理はオンラインカジノというものがどういうものなのか分かっていないと思います。ぶっちゃけどうでもいいものなのですが、ハッキリ言って取るに足らないものです。先に言ったパチスロやガチャ、ソシャゲー等同程度のもので、返って一時の娯楽を奪う可能性の方が高いと思います。オンラインカジノだけでなく、オンラインポーカーやブックメーカーのベッティング等も含んでしまうのも大きいです。元々これらもギャンブルだからダメなんだと言われたらそれまでですけどね。いずれにしろ総理にはもっと言葉を慎重に選んで貰いたかったです。

 

オンラインカジノ運営元

オンラインカジノの市場規模は大きく、コロナ禍で更に大きくなりました。元々ギャンブラーにとっては、IRなどどうでもよく、賭けれるサービスが欲しいのです。スマホからでも簡単にアクセスできるため、オンラインとカジノはどうも相性がいいみたいです。オンラインカジノを含めたオンラインゲーミング市場は、2020年に$667億の規模に達しました。そして先に述べましたように日本市場は大きいのです。

よって今回の田口翔容疑者によるスポットの当てられ方は迷惑千万でしかありません。イメージは悪くなるし、対策が取られていつ規制が入るか分からないし、これから常にビクビクしながら運営していかなければならなくなってしまいました。オンラインカジノだけでなく、スポーツブックを扱うブックメーカーや、近年若者の間でブームになっているオンラインポーカーも同類です。そしてそれを利用している人達も当然困るわけです。

しかし岸田総理が違法とは言ったものの、日本ではまだ明確な法整備はできていないので、オンラインゲーミングサービス提供元は、吸い取れるだけ吸い取って、ダメになったらとんずらと言ったところではないでしょうか。

 

決済代行業社

オンラインカジノと利用者の資金のバイパスを担うのが決済代行業者です。いわばこの業態の心臓部と言ってもいいくらい重要な役割を果たしており、彼等無くしてこのサービスの提供はあり得ないのです。代行業者は送金手数料と高い為替手数料で運営しています。為替手数料が高いなっと思ったことは何度もありますが、今回のような事件で真っ先に捜査の目がいくのは彼等なのです。そういったリスクがありますので、為替手数料が多少高いのはしょうがないなと思いました。

ちなみに今回田口容疑者が利用した決済代行業者はAstroPayMuchBetterLa(Jeton)と言われています。それぞれ3500万円余り、400万円、300万円を誤入金された口座から振り替えたようです。阿武町の花田町長の5月24日の会見では、4300万円を確保したと言っていましたので、3社が全額返金したことになります。

恐らく田口容疑者は本人が言うように、決済代行業者からカジノへ入金して全額使ったと思いますが、オンラインカジノのバイパスの役割を果たす決済代行業者の存在自体が違法な可能性があります。これ以上事を大きくして捜査されないためにも、代行業者は自腹を切って返金したのではないかと思われます。そもそも彼等にとってはそれほど痛い金額でもありません。

しかし個人的にはこれは返って拙かったのではないかと思います。当然返って怪しまれるからです。残高が残っていたならその分を返金するのは良かったのですが、これではまるで「我々は悪いことをやっているから、今回は全額返金するのでこれ以上は突っ込まないで。」と言っているようなものです。自分等の行いを悪い事と認めているようなものです。いずれにしろ田口容疑者の件で捜査の目は逃れられない運命にあったと思います。先にも言ったように今回一番割を食ったのは彼等ではないかと思います。

 

オンラインカジノアフィリエイター

アフィリエイトとはネットで商品や商材を紹介して、販売元から手数料をいただいているサービスです。よってオンラインカジノアフィリエイターとはオンラインカジノをユーザーに紹介することで、手数料をいただくという形になります。要はオンラインカジノだけあっても認知度が無ければ、ユーザーはそのサイトに辿り着けませんので、アフィリエイターが自分のサイトでそれを紹介して、自サイトを訪れたユーザーに紹介するという形になります。かく言う私も当サイトでオンラインカジノを紹介していますので、オンラインカジノアフィリエイターということになります。

岸田総理が言うように、オンラインカジノは違法ということになれば、我々も違法行為を助太刀しているという立場になります。しかし先にも言いましたが、私も良くプレイしていますが、オンラインカジノは適切な使い方をしていれば決して悪い物ではなく楽しいものです。ほとんどガチャや課金ゲーと一緒です。控除率がありますので大体負けると分かっていてやるのですが、それでも勝つこともありますし、ちょっとしたドキドキ感は味わっています。その代価として少々の金額を払っても何も違和感はありません。雀荘やパチスロを利用するのと一緒の感覚です。オンラインカジノだってライブカジノやサイト運営に人件費や技術料、ライセンス料は掛かっているのです。決してただでサービスを提供しているわけではありません。

私はたまにゲームのレビューやプレイ日記を書きますが、それなりに楽しんでやっているというのは伝わると思います。それは負けると面白くないですし、その気持ちに脚色はしていませんので、いらだった気持ちも察せられるかもしれませんが、基本的にプレイしている時は楽しんでいます。そしてトータルでは年間で$1000くらいの負け額だと思います。現在$1が140円くらいですので、大体14万円くらいでしょうか。実際はスポーツブックの方も負けていますので、トータルでは20万円くらいだと思います。趣味の一つと捉えれば年間使う金額として決して高くはないと思います。もっとも、もっと使って負ける人もいますし、勝つ人もいます。

今回の田口翔のような金を金とも思わないような賭け方をする者もいますが、かなりの少数派です。自分の金ではないから、無謀な賭け方をしたのではないかと思います。大体の人は金のありがたみを分かっていますし、歯止めが掛かって自分の財布の許容量を超えるような賭け方はしません。適度な使い方でそれなりに楽しんでいるという人がほとんどです。

しかし今回の件を受けてオンラインカジノアフィリエイターもやはり臭い物に蓋という感じで、誰も岸田総理が予算委員会で「オンラインカジノは違法である。」と明言したことに言及しているサイトはありませんでした。(2022.6.10現在)もう言っちゃった事実は変わらないのですから、紹介するならそのこともちゃんと言及した方がいいのですけどね。でないと訪問者をだましているのと一緒だからです。

オンラインカジノアフィリエイターの立場としてもう一回いいますが、2021年6月1日岸田総理は衆院予算委員会で「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言しました。よってオンラインカジノを強く勧めることはしません。寧ろ逮捕されるのではと悩んでいるなら、止めた方が無難と助言します。ただ現行法で本当に違法だと断言できるのかと言われたら疑問の余地がありますし、ガチャや課金ゲー、パチスロと言った実質的には似たようなサービスはいっぱいあります。なんでもかんでもダメにしたらつまらないだろう。自分の金だしな。と言うのが主張です。サービスの本質を知った上で適度な楽しみ方をするのは問題ないのではと思っています。

 

人は皆私利私欲で生きている

どうでしょうか。上で紹介した人達を見ますと、皆欲望というものを感じませんか。田口容疑者は自分の金を増やしたくて、偶然舞い込んだ4,630万円を種銭にしたのです。木曽先生はハコモノカジノを日本で先導したくて、同業他社(言い方は適切でないかもしれません)のオンラインカジノ業界を目の敵にしているのです。

山岸議員は名を挙げたいから、たまたま丁度いいタイミングで出てきた叩きやすいオンラインカジノを槍玉に挙げたのです。木原ポーカープロはオンラインカジノが違法となればオンラインポーカーも違法となるので、この点に言及できないのです。津田弁護士も過去の弁護した不起訴事例を誇りに思っているため、内心総理の発言には面白くは無いけど、表立ってオンラインカジノは合法とも言いずらいので、今のところ見守るより無いのです。

岸田総理もやはりオンラインカジノなど、他に取り組まねばならない課題に比べたらどうでもいいものに違いありませんが、山岸議員の質問の誘導が上手く、体面を保つためにああ言わざるを得なかったのです。オンラインカジノを始めとするオンラインゲーミング提供元は、現在の法に抜け穴のある日本をターゲットにしているのです。決済代行業者やアフィリエイターはその利益の一部にあやかりたくて、送金サービスやサイト展開を行っているのです。

裏を見るとそういうことなのです。これがこの事件の全体像でありからくりなのです。何もこの件に限ったことではないですけどね。

 

どのように取り締まることが予想されるか

さて最も大事な今後の展開ですが、総理は「オンラインカジノは違法なものであり、厳正な取り締まりを行う。」と明言してしまった以上、何らかの措置を行うのは確かだと思います。どのような取り締まり方をするのかは、予算委員会の質疑応答にヒントがあったように、恐らくオンラインカジノへの送金ルートを断ってくる可能性が一番高いと思います。先に述べましたように、ここがやはりこの業界の急所なのです。そうなると将来的には暗号資産のみの取り扱いになるのかもしれません。

また法を変えるということも考えられますが、刑法を変えるのはそう簡単ではありませんので、やはりそれよりもやりやすい送金ルートの遮断の可能性が高いと思われます。まだ少し時間がありますので、オンラインカジノ業界は少し対策を考えておいた方がいいかもしれません。そしてユーザーはいつ送金ルートを断たれて、できなくなってもおかしくないと認識しておいた方がいいです。

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