インカジ(インターネットカジノ)店はなぜ違法なのか

記事編集日 2020.10.19

インカジ(インターネットカジノ)店の経営者や客が逮捕されたというニュースがたまに出ますが、ここではなぜオンラインカジノは良くて(グレーであるが)、インカジがダメなのかを説明します。

 

インカジ(インターネットカジノ)店はなぜ違法なのか

先々週(2019.11.8)仙台市青葉区国分町で、インカジ(インターネットカジノ)店の経営者2人と客2人など男女計4人が賭博の疑いで逮捕される事件がありました。インカジ店は客にポイントを買わせ、ネットカジノをさせて、ゲーム終了後の残高に応じて換金できるという仕組みだったそうで、3ヶ月前から開店していました。

同様のインカジ店逮捕事例は過去にも多数あり、最初の逮捕例は2006年2月の京都市中京区東木屋町のインカジ店ゴールドラッシュの例に遡ります。店員2人を常習賭博容疑で、客2人を賭博容疑で逮捕しました。その後2007年1月に店員に判決が下り、懲役2年、執行猶予5年、追徴金1億139万円という内容でした。追徴金からして相当儲けていたのではないかと思われます。

店側としては我々がカジノを開いているわけでは無く、オンラインカジノのサーバーは海外にあり、我々に法の及ぶものではないと考え、それを利用する客にも当然違法性は無いと説明していたそうです。要はこのサイトでも言っているオンラインカジノの正当性(実際はグレーゾーン)をそのまま主張していたことになります。

しかし実際このように何件も逮捕されたところを見ますと、オンラインカジノと言えど、国内で客に面等を向かって自分の店で利用させ、カジノゲームの仕組みから利益を上げていたということであれば、逮捕の対象になるのが分かります。

全てのカジノゲームには控除率があるため、長くやれば(大数の法則が働けば)必ずユーザーが負けるようになできています。例えば控除率の最も低いバカラですら2500回もやると、客が勝つことはおろかトントンに持っていくのさえ2.5%となるそうです。残りの97.5%は金額に差こそあれ、店側の勝ちです。

自分等はいくらカジノゲームに直接関わっていないとしても、客からこの仕組みにより利益を上げていたのであれば、それは違法なのも十分頷けます。例えばチップが現金に還元できない、ただ楽しむだけのカジノカフェがあったとします。客が来るかどうかは別として、これ自体は違法でも何でもありません。客は長く遊べば大数の法則が働き大体チップを減らします。第三者がこれを利用して、チップ換金代行業を務めれば、カジノの仕組みを利用して利益を得たことになり、賭博は明らかでその者が逮捕されるのは当然と思えます。

一方客の立場からするとどうなのかと思いますが、その場で換金できるとあれば、国内でカジノをしたのと何ら変わらなく違法性に該当するのも頷けます。

インカジ店を合法と見なすと極論、個人でカジノ店を運営できてしまうのです。そのカジノはオンラインカジノですので、ディーラーをはじめとする従業員は必要ありません。プレイヤーのイカサマを警戒する必要もありません。店としては楽にカジノの控除率より利益を上げることができてしまいます。これはどう考えても違法なのが分かるかと思います。必要的共犯(対向犯)という見地からも説明できてしまいます。(インカジ店が実質的に胴元で客がその利用者。)

インカジ店は違法なのかが分かったと思いますが、ここで改めてオンラインカジノを家でやるのはどうなのかを考えてみます。胴元は海外にサーバーを置いていますので、国内から違法性を持ち出して逮捕するわけにはいきません。それに伴い客にあたるプレイヤーは決済ツールを利用して換金できてしまいますが、対向犯の見地から違法性は微妙となってしまいます。そしてまだ国内でオンラインカジノの利用を取り締まる法律が無いので、オンラインカジノの利用自体がグレーゾーンです。言い換えると利用者を裁きにくいのです。これはオンラインカジノの違法性と逮捕を見てもその結果から分かるかと思います。その上個人のパソコンからオンラインカジノの利用を取り締まるのは現状では大変難しいです。インカジ店では現行犯逮捕できるのと対照的です。

まとめますとインカジ店は国内のカジノ性が高い上、現行犯になってしまいますので経営は勿論利用客も違法性に該当することを肝に命じて下さい。一方家からオンラインカジノを利用するのはグレーゾーンですので自己責任でプレイして下さい。

 

インカジと闇カジノの違い

日本で個人がカジノを営業するのは当然違法で、賭博開帳図利罪に問われます。闇カジノは隠れてカジノ営業するわけで当然違法行為です。インカジは上記の理由から違法となります。インカジは広義の意味で闇カジノに含まれると思いますが、営業形態的に違いがあります。

インカジはあくまでインターネットを利用したカジノサービスを提供しているため、店側は直接はカジノゲームには携わっていません。このため摘発された場合は常習賭博容疑にかけられます。一方闇カジノは自分等でテーブルを立て店側のディーラーもいますので、直接カジノゲームに携わっています。このため摘発された場合は賭博開帳図利容疑にかけられます。客はいずれの場合も現行犯のみの逮捕となり、単純賭博容疑にかけられます。

店舗状況としてはいずれも厚手のシャッターなどで外部を覆うか地下での営業が主で、大規模なものではありません。はっきり言ってしまえばショボイものです。外には見張りがいます。客は通常会員制で、会員になるためには紹介が必要か、キャッチに近づいて身分証などを提示しなければなりません。売上はカジノゲームの性質上大きいです。闇カジノのゲームはバカラか違法スロットであるところがほとんどです。そして売上金の一部が暴力団に流れていくところもあります。

 

刑法第185条(単純賭博罪に関して)

賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

 

刑法第186条(常習賭博罪と賭博開帳図利罪に関して)

1、常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。

2、賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

 

インカジ店・闇カジノの摘発事例

2006年2月23日 京都市中京区東木屋町のインターネットカジノ店「ゴールドラッシュ」の店員2人(常習賭博容疑)と客2人(賭博容疑)を逮捕。翌年1月店員に判決が下り、懲役2年、執行猶予5年、追徴金1億139万円。

2015年5月13日 横浜市中区伊勢佐木町のカジノバカラ店「SPICE(スパイス)」の経営者中村崇嗣容疑者(35)と従業員4人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客9人を賭博容疑で任意同行。3月下旬に開店し売上は1日300万円ほど。

2017年11月20日 東京都渋谷区道玄坂のインターネットカジノ店「ウォーリー」など2店を摘発し、海野健容疑者(44)ら16人を常習賭博で逮捕。ライブバカラの映像を使って賭博をさせた疑いで、2月より営業し総売上は2億1600円ほど。

2018年4月13日 東京都新宿区歌舞伎町1丁目のカジノバカラ店(2台)「ペアペア」の経営者坂本政彦容疑者(59)とパチスロ店(50機)「ソーキソバ」の経営者笈田悟(45)と他従業員2人を賭博開帳図利容疑で逮捕。2店は同系列で、客5人も賭博の疑いで逮捕。

2018年6月13日 横浜市中区福富町仲通の7階建て雑居ビル7階のゲーム機賭博店「タイガー」でパチスロ機(42台)を使って賭博をさせたとして原田幸子容疑者(45)と佐藤勝容疑者(36)を常習賭博容疑で逮捕。

2018年6月22日 東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビルで客にバカラ賭博や違法スロットをさせたとして「フラワー」の責任者阿佐美利光容疑者(49)と「クランキー」の責任者大畑亮二容疑者(31)ら15人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客13人も賭博の疑いで逮捕。2017年6月頃より経営し売上は一ヶ月で2000万円ほど。売上金の一部は、指定暴力団住吉会の傘下団体に流れていた疑いがある。

2018年6月29日 東京都渋谷区道玄坂のパチスロ賭博店「JAC」でパチスロ機(39台)を使って賭博をさせたとして撹上容疑者(48)ら従業員3人を常習賭博容疑で逮捕」。客3人も賭博の疑いで逮捕。今年の3月から開店し売上は1日40万円ほど。

2018年7月2日 横浜市中区相生町の雑居ビル地下1階にあるカジノ賭博店「Gets(ゲッツ)」でバカラ賭博(4台)やスロット(5機)をさせたとして店長の岡本高浩容疑者(34)と従業員3人を賭博開帳図利容疑で逮捕。前年の9月に開店し総売上は5億4千万円ほど。

2018年11月29日 東京都新宿区歌舞伎町でタブレット端末を使ったデジタルバカラ台で客に賭博をさせたとして嵯峨隆由容疑者(43)と従業員7人を賭博開帳図利容疑で逮捕。客3人も賭博の疑いで逮捕。半年間開店し総売上は1億4千万円ほど。嵯峨隆由指定暴力団住吉会傘下団体と関係があり、デジタルバカラ台を開発し特許登録もし、全国の違法カジノ店に販売するつもりでいた。

2020年10月16日 歌舞伎町の雑居ビルでバカラ賭博をさせたとしてカジノ店店長の斉藤大心容疑者(43)ら男女6人と客2人が逮捕されました。今年1月から週に6日間営業し、緊急事態宣言中もアングラバカラにコロナは関係ないと客に伝え、ひと月に700万円ほど売り上げていました。

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