金融緩和と国債の関係が招く海外との金利差拡大と円安 今後どうなる円相場

記事編集日 2022.10.21

今年に入って日本円がアメリカドルに対して30円も下がりました。

これはドル/円の月足ですが、今年の1月は1ドルが115円くらいだったのが10月までに145円くらいになり、30円下がったのが分かります。30/115≒0.26ですので、円の価値がドルに対して1/4も下がってしまったのです。いわゆる円安ドル高というやつです。

これですと輸出企業は海外で製品を売り外貨を獲得しますので、円に換算した時為替差分利益が上乗せされます。しかし輸入物に対しては外貨で支払うため、円に換算した時為替差分多く支払わねばなりません。特にエネルギーに関しては日本は海外に頼り切っていますので、その価格は高騰しており、原料費の高騰と相まって、今日本では物価高に見舞われています。

今回はなぜ今年に入ってこのような現象が起こってしまったのかを説明し、今後どうなっていくと予想されるのかを書きたいと思います。

 

アメリカのインフレと金融引き締め

アメリカでは去年から新型コロナが原因によるインフレ(需要>供給の結果、物の価値が上がり物価が上がる現象)に見舞われていましたが、今年に入ってロシアのウクライナ侵攻を受け更に加速しました。今年8月の消費者物価指数は去年の8月と比べて8.3%も増加しています。(内訳は前年度に比べてガソリン価格が25.6%増、食品は11.4%増です。特に食品は1979年以来の高い水準です。)ガソリンは満タンにしたら100ドル(14,000円)も取られ、マクドナルドで食事をしたら20ドル(2800円)もかかるようです。

なぜこんな風になってしまったのかと言いますと、まずは去年新型コロナによる経済活動の停滞からの解放にあります。今までの鬱憤を晴らすかのように、一昨年ほとんど消費できなかった分も消費してやろうと、経済活動が活発化し、景気が良くなり過ぎたことにあります。こうなると供給が需要に追い付かなくなり、物価は上がります。また新型コロナによる中高年層の団塊早期退職による人手不足も、物流を滞らせる原因になり、物価を押し上げる原因になりました。アメリカのトラックの運転手は8万人不足していると言われ、年収が4万ドルから7万ドルに跳ね上がり、それでも足りなく初年度から11万ドル(約1400万円)も払うところもあるそうです。

これに追い打ちをかけたのがロシアによるウクライナ侵攻で、約30カ国が食料やエネルギーの輸出を制限し、また物資の流通も滞ることとなりました。また中国のゼロコロナ政策も物資の流通を大きく停滞させています。こうなると原料は高騰し、物価は上がることとなります。

こうなるとFRB(米連邦準備理事会)はインフレを抑えるため、金融引き締めに舵を取ります。これは政策金利を引き上げるということで、お金を借りる側としては負担が重くなり、企業も借りにくくなるため、景気が冷え込む方向に向かいます。そしてインフレ抑制に働きかけます。

アメリカは今年に入って0.75%の利上げを3回行い、現在アメリカの政策金利は3.25%まで上がっています。今後はこれでインフレが収まっていくかが注目されるポイントとなります。

消費者物価指数とは商品の価格の平均的な動きを測定したもので、8.3%上昇するということは、物価が比較対象の時より平均的に8.3%上昇したということを表します。ちなみに去年に比べてどれくらい物価が上昇したかを表すのがインフレ率です。インフレ率は物価上昇→企業の業績上昇→社員の給料上昇→消費上昇→物価の上昇の循環を生み出すため、若干プラスになることが望ましいとされています。

 

金融緩和を続ける日本

一方日本はアベノミクスからずっと大規模な金融緩和を続けており、今後も異次元金融緩和を続ける方針です。9月22日黒田総裁は「2~3年は引き上げるつもりはない。」と言いました。

主要通貨で金利がマイナスなのは日本だけです。スイスもマイナス金利を脱却しました。

エネルギーや食品価格の高騰によって、日本の消費者物価指数は今年に入ってから上がっていき、日銀の目標とする2%を超え2.8%となりました。しかしアメリカの8.3%に比べるとまだ大分低いです。これですと確かに金融引き締めをする理由は無いように見えます。

しかしこれだけ金利差が広がると、当然円が売られ外貨が買われる方向へ向かいます。結果的に145円近くまで円が安くなってしまいました。

 

日銀の国債保有率と金利を引き上げれない本当の理由

これらは日本国政府の新規国債発行額とその蓄積残高の推移、そして日銀の国債保有残高の推移です。日本国債総発行額は既に1000兆円を突破し、そのうち日銀がその半分以上を担っています。これは財政ファイナンスという禁じ手です。現日銀総裁である黒田東彦は2013年3月に総裁に就任しましたが、アベノミクスの金融緩和を助ける形でどんどん国債の保有率を増やしていったからです。国の借金は現在国民一人当たり一千万円もあります。

 

これは令和4年(2022年)の国の一般会計です。注目すべきは国の財政は1/3以上は国債で賄っており、歳出も1/4近くは国債の償還や利払いに充てられているのです。国債は債権であるため、期日がきたら返済しなければならないのです。その間に利子も支払わねばなりません。国債の返還は新規国債で賄っているのです。そうなると問題となるのが利払いで、金利を1%引き上げただけで新規国債に対して年間1%の利払いが増えるることになります。上の例ですと36,9260億円もの利払いになってしまうのです。つまりそれだけで歳出の1/3以上を食いつくしてしまうのです。しかも償還日がくるまで毎年で、次の年も金利が1%ならやはり新規国債に対してもそれがかかるため、利払いが単純計算で倍化していきます。これでは国の財政はすぐに悪化してしまいます。

仮に2021年度の予算に対して、金利がアメリカ並みに3.5%まで引き上げたとすると、追加の利払いが26兆円になりこの分は国債で賄うより無く更に円安は加速することが予想されます。そしてこのままの金利だと国の借金は1000兆円ですので、最終的には35兆円までいくことになります。これが故に政府は何としてでも金利を上げたくないのです。

そして国債と金利の関係は逆関係にあり、金利が上がると新規国債の価値が上がるため、今までの国債の価値は落ちることになります。先物取引市場では新規も今までの国債も同条件で扱われるため、金利を上げることで国債の価格が下落してしまうのです。そうなると国債の半分以上を担っている日銀は大きな含み損を出すことになります。期日まで持っていれば償還されるため問題ないのですが、マーケットがこの含み損をバランスシートの著しい棄損で大きなマイナス要因と捉えれば、日銀の信用力は地に落ち、ハイパー円安とハイパーインフレを招く可能性があります。市場は簿価で無く時価に敏感なため、信用力を落とさないためにも日銀もやはり金利を上げたくないのです。

以上の理由で政府の債務を減らさない限り、金利は簡単には上げれないのです。

また民間会社にとっても金利負担が重ければ、利益率の低い業種はたちまち経営が悪化して倒産してしまいます。そして国内では変動金利で住宅ローンを組んでる人が圧倒的に多く、ローンの返済に追われる世帯が増え、ローン破綻者が多発することも考えられます。これらからも日本では安易に金利を引き上げることができず、日銀も量的緩和策を継続せざるを得ない状況となっているのです。

財政ファイナンスとは中央銀行(通貨発行機関)による国債の引き受けで、要は国債によって市場に出回る金を増やすことです。そうなると通貨の価値は下がっていきます。

 

世界各国の債務状況を日本と比較してみる

各国の債務残高と対GDP比
国(ランキング順) 債務残高 対GDP比
アメリカ 約2362兆円 104.3%
日本 約1300兆円 237.1%
中国 約744兆円 50.6%
イタリア 約302兆円 132.2%
フランス 約301兆円 98.4%
イギリス 約270兆円 86.8%
ドイツ 約268兆円 61.7%
インド 約204兆円 68.1%
ブラジル 約181兆円 87.9%
カナダ 約169兆円 89.9%

これは財務省が公表している債務残高の対GDP比です。

GDP(Gross Domestic Product)とは国内総生産のことで、国内で一定期間の間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計金額です。GDPの内訳は国民の消費と企業の投資、財政支出、貿易収支(輸出額-輸入額)の合計にあたり、これが高ければ高いほど経済状況がいいことを示し、借金返済能力も高いと言えます。

 

先進5か国の国債保有者の内訳

 

これらを見ると日本が突出して以上なのが分かります。日本の債務残高はGDP比で200%を超え(その分返済が難しい)、それの50%を日銀が背負っている(お金を新規に発行している)のです。アベノミクスによる異次元の金融緩和が、世界に例を見ない異常な状況を作り上げてしまったと言えます。

 

それでも日本が財政破綻しない理由

これだけ経済状況の悪い日本が、ギリシアのように財政破綻しないのには理由があります。それは何といっても自国で、通貨(円)と国債を発行できるからです。ギリシアはユーロですのでそういうわけにはいきません。日本はそれに甘えて毎年20兆円もの国債を発行し、その50%を日銀が担うという異常事態に至っていますが、その代償として利上げをできずに円安を受け入れるより無くなっています。

そして日本政府は意外に資産を持っており、非金融783兆円、金融700兆円と、合わせれば負債を返済できるのです。但しこれらは返済に充てられるものではありません。そして日本の対外純資産残高(日本政府・日本企業・個人が海外に持つ資産から、海外での負債を引いたも)は世界一で2021年では411兆円以上です。そして日本の家計の金融資産は1088兆円、企業の金融資産は1253兆円とこれまた国債総額に匹敵します。勿論こられを充てれるものでもありませんが。

よって本気になれば余裕で国債を返済できる潜在能力はあるのです。

2020年末政府の資産
資産…1483兆円(非金融783兆円、金融700兆円)
負債…1411兆円
正味資産…72兆円

 

政府の為替介入とその効果

2022年9月22日、政府と日本銀行は止まらない円安を食い止めるため、1ドル145円を超えた辺りで、2兆8000億円もの円買いドル売りの為替介入を実施しました。これは過去最大の介入額で、この日は一気に5円以上円高に振れました。しかし効果は一時的で徐々に戻っていき、またもや145円を超えようとしています。しかし再度の為替介入を警戒して145円付近で止まっているような感じもします。政府と日本銀行は一方では金利を抑える方向に(円安にふれるように)、一方では円買い(円高にふれるように)で矛盾しているように見えますが、145円付近から停滞しているところを見るとこの為替介入は一定の効果があったと思います。

 

今後ドル円相場はどのようになることが予想されるのか

日銀の黒田総裁は「利上げは2~3年は無い。」と言い切りました。しかしアメリカは当面は金融引き締めをするため、このまま何事も無ければ円安がますます進むことが予想されます。日本の貿易収支が赤字なのもそれを後押ししています。問題はどこまで円安が進むかです。大手銀行の支店長代理の方と話せる機会がありましたが、彼は来年は170円くらいまで進み、145~170円くらいのレンジになるのではないかと思っていると言っていました。

私も彼の意見には賛成で、翌年は更に200円まで進むことを予想しています。しかしこれはあくまで何もしなければの話で、政府も日銀も何かしら方向転換を迫られるのではないかと思います。実際200円まで下がってしまったら、輸入品が高騰しすぎて、物価が上がり過ぎ、消費もしにくくなり、働けど働けど貧しい状態になってしまいます。まさに日本が東南アジアのような国になってしまうのです。喜ぶのは外国人観光客と債務の多い日本政府だけだと思います。

こんな未来にしたくないなら、先ずは利上げのできる土台を作ることです。大規模金融緩和を止め、金利をマイナスから0にすることです。そしてYCC(イールドカーブコントロール)も止め、金利は市場に任せることです。欧米の10年債の長期金利が上がっている中、日本だけ日銀が指値オペ(国債の無制限の買い入れ)を実施し金利が上がらないようにするというのは、市場にその分円を増やすだけで、円安をどんどん進行させてしまうことになります。

 

為替、株式、債券の三大市場は互いに連動し合っている

原理的に無限に通貨を発行できる日銀は、その力を利用して国債の金利は0.25%以上には上がらない状態にしていますが、それは同時に市場の価格形成機能を失わせていることを意味します。つまり現状の日本は、為替、株式、債券という三大市場のうち債券市場がマヒしておりおり、本当の金利がいくらなのか誰にも分からない状態にあり、実際に国債市場では複数営業日連続で取引が成立しないという異常事態が何度も発生しています。そしてその都度日銀が吸収することになります。この債券市場の歪みが為替市場に向かい、極度の円安を招いているのです。

 

一カ月半で辞任を表明したトラス首相

イギリスのトラス首相が9月下旬に打ち出した、大規模減税策が金融市場の混乱を招き、経済対策の大半は撤回に追い込まれました。そして財務相と内相という2人の重要閣僚が辞任し、10月20日新政権が発足して僅か44日の異例の短さで本人は辞任の意向を示しました。

大規模な減税策を中心とした大型財政支出を行い、財源として国債を大増発するという、新政権の経済政策について市場は疑問視し、為替、債券、株式の全てが売られるというトリプル安を招きました。インフレが進んでいる時に需要を拡大する政策を行えば、インフレが悪化するのは経済学上当然であり、財源に増発した国債を充てれば金利が上昇するのも当然です。少なくとも市場はトラス政権の経済政策には合理性がないと判断したのです。ここで大事なのは、健全な市場はその国の経済政策が合理的であるのかを示すリトマス試験紙としての役割があるということです。イギリスはまだこの機能が健全だったというわけです。

 

政府と日銀は何をするべきなのか

黒田日銀の2013年から始めた異次元緩和、約500兆円以上の国債の爆買い、約50兆円のETF(株価連動投資信託)買い入れのツケは重く、日本は欧米のような思い切った利上げができない状態にあり、金利差の拡大による円安はどんどん進行しています。アホノミクスを推し進めた彼等の愚策のツケを、なぜ国民が払わねばならないのか甚だ疑問です。政府は一刻も早く世界に逆行する金融緩和を続ける黒田総裁を解任して、アメリカの債権等の海外資産を売り払い、それを国債の償却に充てて、金利を引き上げれる状態まで持っていくより無いと思います。これをしないのは彼等は債務が多いため、円安になってくれた方が都合がよく、その負担を国民に押し付けているのです。岸田総理自体元々経済に疎く、都合のいいことしか聞かない聞く耳を持っており、口ばかりで中身が無い国葬総理ですので早急に辞任して欲しいものですね。今の円安は彼のせいではないですが、皮肉にも彼の能力と国民の支持率は、今の為替相場そのものを表しているのです。10月17日時点で、1ドルが148.69円で、間もなく150円を超えようとしています。

安倍晋三銃撃事件より露呈された旧統一教会とその問題を分かりやすく説明します

私が小学5年生の頃、担任の教師が「桜田淳子は統一教会に入っているから結婚の自由が無く、教団の定めた人としか結婚できない。」と言ったのを覚えています。「へー。そんなもんなんだ。」と思いながら、「しかし他人が自分の人生を決める権利なんてあるのか。」と何か腑に落ちない所があり、”統一教会”という名を聞いたのもその時が初めてでした。

それから世間話で高額の壺や印鑑を信者に買わせる霊感商法をたまに耳にし、「何か嫌らしい団体だな。自分とは関わり合いを持ちたくないな。」と思うようになりました。

私も今まで一度勧誘されたことがありますが、3時間くらいかけて丁重に断りました。っていいますのは、最初から「統一教会」とは明かさないので、話を聞いているうちに親近感を持ってしまい、断りにくくなってしまうのです。余談ですが、創価学会も2度勧誘されたことがあります。一度目はクラスの友人、二度目は職場の人が連れてきた人です。やはり無碍には返せないので、3時間くらいかけて丁重に断りました。「献金をするのが嫌。」とハッキり言いましたが、「私は進んで献金してますけどね。」と言われ、感覚が違い過ぎるんだなと思いました。

7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅北口前で、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃された事件で、容疑者の山上徹也氏が「ある特定の宗教団体を憎んでおり、安倍元首相はその団体と深い繋がりがあると思った。」と動機をほのめかしていました。この団体こそ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)で、山上氏の母はその団体に入信し、1億円以上も献金して家庭を崩壊させてしまったようです。ここで久しぶりに統一教会の名を聞いたわけですが、今回は今世間を騒がせているこの統一教会に関して、どういう宗教団体なのか調べてみました。

目次
統一教会の歴史
教義
規模
統一教会に関係する人物
文鮮明
韓鶴子
田中富広
日本の政治との結びつき
霊感商法
合同結婚式
統一教会と関係のある議員
旧統一教会と接点のある政務三役の国会議員35名一覧
萩生田光一政調会長
生稲晃子
岸信夫元防衛大臣
次々と明るみになる旧統一教会と関係があった立憲民主党議員
統一教会と関係のある芸能人
桜田淳子
メディア
フジテレビ
テレビ朝日
NHK
関連団体
原理研究会
国際勝共連合
世界日報
まとめ
疑問
これからも政治と旧統一教会は結びついていくのか?
暴かれてしまった旧統一教会は、これから日本で信者の拡大、献金集めを続けていけるのか?
霊感商法はどうなっていくのか?

 

統一教会の歴史

統一教会の正式名称は、世界基督教統一神霊協会(The Holy Spirit Association for the Unification of World Christianity)である。統一教会(略称)は、1954年に韓国で文鮮明により創設され、日本では1959年から伝道が開始されました。日本では50年近い宣教の歴史があり、数万人の信者がいると推定されています。1963年財団法人の認可を得、世界に広めていきました。

日本では1964年に久保木修己を初代会長にして宗教法人の認可を得、同年全国大学連合原理研究会が創立され、大学生・青年への伝道が活発化していきます。また統一教会は伝道のみならず、政治活動にも積極的に関わるようになり、1968年に国際勝共連合を設立し、反共政治活動を始めました。これによって保守派の自民党大物政治家とも友好関係を築くことになりました。

1974年に統一教会は世界平和教授アカデミーを設立し、言論界に共鳴者を求め、大学人の中には統一教会の経費で国際会議等に出席した者も少なくありませんでした。こうした政治的対外活動には多額の経費がかかり、また韓国やアメリカでの宣教活動にも莫大な資金を必要としました。文鮮明の指示の下、日本の統一教会は資金調達を一手に引き受け、「資金作りをミッションとする信徒」を養成する教会となっていきました。

1980年代以降は霊感商法が問題となり、悪名高き宗教団体としてイメージされるようになり名称を変える必要性に迫られ、1994年5月に世界平和統一家庭連合と名称を変更し、2015年8月26日に文化庁より改称が認証されました。

 

教義

統一教会の教義は教典「原理講論」に加えて、教祖がこれまでの説教で語った膨大な「御言葉」、及び聖書の参照から構成され、創造原理、堕落論、復帰原理が柱となります。

創造原理では宇宙の根本原理、神の創造目的が説かれ、堕落論では不幸の原因である原罪の真相が解き明かされます。創世記において、エバが善悪を知る木の実を蛇にそそのかされて食べ、その実をアダムにも食べさせると目が開き、二人は裸であることに気付いた。神は、取って食べるなという神の戒めを破ったので二人を楽園から追放したという、あの箇所です。文鮮明は、蛇とは後にサタンとなる堕天使にして元天使長のルシファー(統一教会ではルーシェルという)であり、人類始祖のエバがそそのかされて食べた禁断の果実とは、ルシファーとの禁断の愛であったと断じます。神様はアダムが一人でいては寂しかろうと、アダムのあばら骨からエバを作ってくれたのであるから、エバはアダムの伴侶ですが、エバはルシファーと不倫をおかし、次いでアダムとも慌てて性関係を持つなど堕落しました。そして、サタンからエバ、エバからアダム、人類の始祖から子孫たる全人類に神に背いた悪の血統が相続され、人間が罪を犯すのはサタンの血をひく末裔(まつえい)のゆえとされます。そして韓国はアダム国家、日本はエバ国家となっています。

もちろん、このような堕落の真相やそれが原罪だといった説明は、聖書に全く書かれていません。では、何を根拠としているのか。これは文鮮明がイエスや神から直接聞き及んだ話だということになっています。そう言われてしまうと聞く側としても、ひとまずなるほどと聞いておくよりないのではないでしょうか。

神は人間を神の側に取り戻す計画を考えられたそうだ。救世主の派遣である統一教会によれば、イエスは人間の娘を娶って善なる子孫を残す予定であったが、人間の不信により十字架で殺害された。そこで神は計画を変更せざるを得ず、イエスを天にあげられ、イエスの復活を信じるものたちに霊的救済のみを約束されたのだとする。しかし神は人類の肉体も含めた完全な救済(復帰の摂理)をお考えになり、人類に再臨主を遣わした。その再臨主こそ私であるというのが文鮮明の言である。

 

規模

統一教会は世界的で200近くの国と地域で活動されていて、信者は300万人以上とされています。その中で一番多いのは日本の信者で60万人とされています。

  1. 日本 60万人
  2. 韓国 30万人
  3. フィリピン 12万人
  4. コンゴ共和国 11万人
  5. アメリカ、タイ 10万人
  6. アフリカ 急増中

尚フランスでは反セクト法により、ロシアでは対テロ法により規制されています。

 

宗教国内信者数ランキング15位

【1位】幸福の科学/11000000
【2位】創価学会/8270000(世帯)
【3位】立正佼成会/3111644
【4位】顕正会/1670000
【5位】霊友会/1390248
【6位】佛所護念会教団/1240689
【7位】天理教/1209421
【8位】パーフェクトリバティー教団/934489
【9位】真如苑/909603
【10位】世界救世教/835756
【11位】崇教真光/800000
【12位】妙智會教団/654046
【13位】世界基督教統一神霊協会/600000
【14位】生長の家/586973
【15位】円応教/456902

統一教会の国内信者ランキングは13位となっています。

 

統一教会に関係する人物

文鮮明

世界平和統一家庭連合(旧・世界基督教統一神霊協会。通称統一教会。)、国際勝共連合を含む統一運動の創立者。20世紀後半の最も目立った新宗教の指導者の1人であり、統一教会の信者にとっては、地上に再来したメシア、第三のアダム、再臨の主であり、彼と妻の韓鶴子は真の父母であると考えられています。しかし他方では第一級の宗教的詐欺師であり、陰謀によって会員や元会員、その家族たちの人生を台無しにしてきた悪徳商人であると捉えている人々もいます。釜山ボンネッコルで「原理」の説教を始め、1954年5月1日に「世界基督教統一神霊協会」(通称統一教会。)を設立しました。1960年3月16日に当時17歳の韓鶴子と結婚し、この時期以降「合同結婚式」を開始しました。1968年に下部組織として、「国際勝共連合」を設立。1975年に文鮮明が出した送金命令により、日本の統一教会は過酷な集金・違法な商売を行いアメリカ・韓国等の統一教会の活動に多額の資金を送金しましたが、後に霊感商法で大きな社会問題となりました。2012年9月3日、肺炎などの症状によって92歳で生涯の幕を閉じました。

韓鶴子

文鮮明の三番目の妻で、世界平和統一家庭連合、関連団体である世界平和女性連合、天宙平和連合の総裁。統一教会においては歴史上初めて完成した女性として全人類の「真の母」と意義付けされ、教団内では「真のお母様」と呼ばれています。文鮮明との間に14人の子供をもうけました。日本には度々来日しています。

田中富広

世界平和統一家庭連合日本教会第14代会長です。安倍晋三銃撃事件後の2度ほど会見しましたが、「過剰なメディア報道によって、当法人の信徒から様々な被害が報告されている。」とか「霊感商法は過去も現在も行ったことはない」とか「世界的な活動の資金が日本が全て背負っているという事実はない。」とか言い訳がましい発言ばかりでしたが、政治に友好団体が強く関わってきたことは事実だと認めました。

 

日本の政治との結びつき

文鮮明は自由民主党の安倍晋三元総理大臣の祖父である岸信介と盟友であり、1950年代から日本の政界と協力していました。岸の自宅付近には統一教会の施設が存在し、そこで岸は交流会や講演会などを行っていました。統一教会は現在に至るまで、国際勝共連合等の関連団体やダミー団体を通じて、自由民主党等の保守政治家と密接な関係を保ち続けてきました。これは、教団の宣伝・広報に利用されています。統一協会系月刊誌『世界思想』では、「戦後憲法の終焉」「今こそ日本を取り戻そう」等のフレーズが使われ、安倍晋三元総理大臣の写真が過去複数回にわたり表紙に使われていました。

統一教会の機関紙「世界思想」の表紙を飾った安倍首相

 

霊感商法

ビジネスの最終判断を文鮮明に委ねる神頼みの商売には厳しいものがあり、そこでむしろ宗教活動そのものを経済活動に転換できないかと知恵を絞って考案されたのが、姓名判断や家系図鑑定と絡めた商品の販売です。先祖の因縁や霊障を取り除く、あるいは開運のためといって、1980年代に韓国から朝鮮人参茶、高麗大理石壺等を輸入して販売しました。「不安」をあおり、安易な「癒やし」を差し出せば判断能力は歪められ、人は喜んで搾取され続けるのという心理状況に対して、現代人はあまりに無防備でありました。このやり方が霊感商法で、80年代後半からは社会問題となって浮上してきました。

1987年に全国霊感商法対策弁護士連絡会が結成され、これまで商品の返還交渉や損害賠償請求の提訴が行われました。同会の調査によれば、全国の消費者センターや弁護士会に寄せられた2007年までの累積被害総額は、1024億4720万425円に達するようです。山上氏の母親が献金したのもこの一部ということになります。このような宣教資金調達のやり方とそれに付随して広まった悪評により、統一教会は宣教方法すら変えざるを得なくなりました。統一教会=霊感商法というイメージから、名前をそのまま出すと一般市民は警戒して話を聞いてくれなくなってしまったのです。そのため、とりあえず、正体を隠して市民に近づき、印鑑や壺の販売方法で培った手相・姓名判断、家系図鑑定を入り口にして信者を勧誘するという布教方法を採用するに至りました。

2007年から2010年にかけ、霊感商法を行っていた会社が相次いで摘発され、統一教会との関係性も認められました。しかし教会本部まで捜査は及びませんでした。やはり政治の圧力があったのではないかと思われます。

 

合同結婚式

再臨主は信者をどのように救済しているのかと言うと、ここで登場するのが有名な「合同結婚式」です。「祝福」とも呼ばれ、文鮮明が統一教会員同士をその場で指名して、あるいは写真を見てマッチングする。信徒はどんな相手であっても再臨主が選んでくれた最高の伴侶として結婚しなければなりません。このような家庭から「無原罪の子」が生まれるとされます。文鮮明夫妻を真の親とする信者の家庭によって神の王国は建設され、地上天国が実現されるというのです。

教団の公式発表では、1960年から今まで37回にわたり国際合同結婚式が挙行され、祝福にあずかったカップルは30億組を優に超えるとされます。1998年6月13日、アメリカのマディソンスクエア・ガーデンで3億6千万組の第1次世界祝福式が行われ、翌1997年2月7日、ソウルの蚕室オリンピック・メインスタジアムにおいて3億6千万組国際合同祝福式がありました。なお生きている人だけではなく、既に霊界に住んでいる人たちも先祖解怨という統一教会の儀式を通して救われ、祝福を受けているものもいるとのことです。統一教会は、Blessingと書かれたコーヒー・フレッシュ状の入れ物に入った赤い液体を多くの人に配っており、もらっただけでも祝福にあずかったことになると言います。

 

統一教会と関係のある議員

旧統一教会と接点のあった議員は106人で中82人は自民党で約8割を占めています。岸田総理は7月10日に内閣改造して刷新を図りましたが、閣僚7人と副大臣、政務官計20人が教団側と関わりがあることが判明しました。

 

旧統一教会と接点のある政務三役の国会議員35名一覧

【総務大臣 寺田稔】旧統一教会関連団体の会合に会費2万円を支出
【法務大臣 葉梨康弘】旧統一教会関連団体の雑誌にインタビュー記事掲載
【外務大臣 林芳正】旧統一教会関連団体の取材を受けた
【厚生労働大臣 加藤勝信】旧統一教会関連団体に会費3万円を支出
【環境大臣 西村明宏】旧統一教会関連団体の会合で代表世話人を務める
【経済再生担当大臣 山際大志郎】旧統一教会関連団体会合で会費1万円を支出。別イベントでは来賓挨拶も
【経済安全保障担当大臣 高市早苗】旧統一教会系雑誌で対談
【地方創生兼沖縄・北方担当大臣 岡田直樹】秘書が旧統一教会関連団体会合にメッセージを送ったり出席
【官房副長官 木原誠二】地元秘書が旧統一教会関連団体会合に出席
【官房副長官 磯﨑仁彦】旧統一教会の創始者らの生誕を祝う会に出席
【デジタル副大臣 大串正樹】旧統一教会関連団体に6万円分のパーティ券を購入してもらった。関連団体のイベントにメッセージを送った
【内閣府副大臣 和田義明】旧統一教会関連団体のクリスマスチャリティーイベントに祝電
【内閣府副大臣 星野剛士】旧統一教会関係者から選挙支援を受けたり、関連団体集会に祝電。集会に秘書が代理出席
【外務副大臣 山田賢司】自身のパーティ券を、旧統一教会関連団体に購入してもらう
【文部科学副大臣 井出庸生】旧統一教会関係者から選挙応援を受けた
【農林水産副大臣 野中厚】旧統一教会関連団体会合に出席
【経済産業副大臣 中谷真一】旧統一教会関連団体イベントに出席し、あいさつ
【国土交通副大臣 豊田俊郎】旧統一教会関連団体イベントに出席し、あいさつ
【国土交通副大臣 石井浩郎】旧統一教会関連団体会合に出席し、あいさつ
【環境副大臣 山田美樹】旧統一教会関連団体の会合の冒頭に出席
【環境副大臣 小林茂樹】旧統一教会関連団体イベントの実行委員長を務めた
【デジタル政務官 尾﨑正直】旧統一教会関連団体会合に出席し、あいさつ
【内閣府政務官 鈴木英敬】旧統一教会関連団体会合に祝電が届いたことが、会合の司会者によって紹介されている
【内閣府政務官 中野英幸】旧統一教会関連会議に複数回出席し、あいさつ
【総務政務官 国光あやの】旧統一教会関連団体会合に祝電
【総務政務官 杉田水脈】旧統一教会の関連施設(米国)で講演
【総務政務官 中川貴元】旧統一教会関連団体のフォーラムに出席
【法務政務官 高見康裕】旧統一教会関連団体のフォーラムに出席
【外務政務官 高木啓】旧統一教会関連団体会合に秘書が代理出席
【外務政務官 吉川ゆうみ】旧統一教会関連団体会合に祝電
【文部科学政務官 山本左近】旧統一教会関連団体会合に祝電
【国土交通政務官 古川康】旧統一教会関連会議に出席、祝電
【国土交通政務官 清水真人】旧統一教会関連団体イベントに祝電
【環境政務官 柳本顕】旧統一教会関連団体会合に出席
【防衛政務官 木村次郎】旧統一教会関連団体会合に出席し、会費1万5000円を支出

 

萩生田光一政調会長

萩生田氏は、参院選の公示直前の6月、地元・東京都八王子市の旧統一教会関連施設を、生稲晃子氏とともに訪れていたことが明らかになっています。2009年から2012年、落選中だった萩生田氏が、旧統一教会の施設を頻繁に訪れ、講演をおこなっていました。その際の萩生田氏はVIP待遇でした。他にも入山聖基氏という旧統一教会の大幹部と友人関係です。8月18日に記者から問われた萩生田氏は、今後の統一教会との関係について「適切に対応する」とだけに留めましたが、それでは有権者は納得いかず、8月24日BSフジのプライムニュースで、「今後は関係を持たずに政治活動をおこなっていきたい。」と兜を脱ぎました。

 

生稲晃子

参院選の6月頃、当時経済産業相だった萩生田光一政調会長とともに、東京・八王子市の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連施設を訪れていました。本人はどの団体だったか分からなかったと弁明しております。元おニャン子クラブのメンバーですが、早くも議員としての資質を疑われています。

 

岸信夫元防衛大臣

旧統一教会との関係をあっさり認めたのがこの人で逆に潔い印象でした。岸信介元首相を祖父に持ち、安倍元首相を実兄に持つ人で、旧統一教会がカルト集団なのは分かっていながら、そのありがたみに抵抗できなかったと言っています。選挙で旧統一教会の組織票がどの候補へ流れるかは、安倍の裁量が極めて大きく、岸信夫には8万票を差配していたようです。今は防衛大臣を外され、内閣総理大臣補佐官になっています。

 

次々と明るみになる旧統一教会と関係があった立憲民主党議員

旧統一教会と関係があった立憲民主党議員は合計14名で、14人全員が旧統一教会と認識していなかったそうです。これは明らかに嘘ですね。14人のうち岡田克也元外相、枝野幸男前代表、安住淳元財務相、福田昭夫衆院議員の4人は、過去、旧統一教会と関係が深い「世界日報」にインタビューが掲載されていました。また大串博志衆議院議員、古賀之士参議院議員は統一教会の関連団体の催しに祝電を送付したようです。身内がこれでは、この件に関して自民党を深く追求できないのも頷けます。

 

統一教会と関係のある芸能人

桜田淳子(女優)、飯星景子(タレント)、藤岡弘(俳優)、音無美紀子(女優)、月丘夢路(女優)、椎名桔平(俳優)、なすび(タレント)、竹内結子(女優)、山崎浩子(元五輪新体操選手)、徳田敦子(バドミントン選手)

桜田淳子

1972年中学2年生(14歳)の時に日本テレビの人気オーディション番組『スター誕生!』の秋田県民会館で行われたテレビ予選で牧葉ユミの「見知らぬ世界」を歌い、番組史上最高得点となる573点で合格を果たし歌手デビューしました。彼女は姉の影響で19歳頃から統一教会に入信しており、1992年8月25日にソウルオリンピック主競技場で開催された合同結婚式で会社役員と結ばれました。婚姻後は夫の地元の福井県敦賀市に移り住み、3人の子供を出産しました。

 

メディア

最初は旧統一教会に関してメディアでは伝えられていませんでしたが、やがて日本テレビ等が暴露し始めました。これに対して旧統一教会は25日2回目となる「異常な過熱報道に対する注意喚起」というリリースをホームページ上で発表し、「信教の自由を無視した魔女狩り的なバッシング行為」などと訴えた批判しました。メディアでは、TBSの『報道特集』『news23』や読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』を筆頭に、旧統一教会の問題を追及する大きな流れが生まれていますが、一方お上からの圧力がかかり、統一教会の件に関して報じていない報道局もあります。

今回の統一教会と政治の繋がりは、メディアの姿をも浮き彫りにした感じです。以下の報道局は少なくとも、都合の悪いことは報道しない偏ったものを報道していると見なせます。

フジテレビ

「世界平和統一家庭連合」に関する話題を積極的に取り上げ、世間からの称賛を集めている宮根誠司。しか、8月7日放送の『Mr.サンデー』(フジテレビ系)では露骨に「統一教会」を避けるような印象があり、この不自然すぎる状況に、政治的圧力がかかり忖度した感が諫めません。

テレビ朝日

テレビ朝日も7月18日以降『モーニングショー』で、統一教会に関する報道がぴったりと止みました。「政治の力が働いた」と言った、有田芳生氏の出演をキャンセルさせ、急遽別の企画に差し替えました。これは今年の6月社長に就任したばかりの篠塚浩氏の「ツルの一声」で、一切やるなということだったようです。

NHK

NHKも上層部がGOを出さず、この件に関してほとんど報道してきませんでした。権力の圧力があったわけではなく、責任を担う人たち同士で顔色を見合った末に、誰も報道しろとは言わなかったようです。情けない忖度ですね。確かにこれまで、NHKには政治からの圧力が長らくありました。経営委員会は安倍・菅ラインとつながった財界保守層から人が送り込まれ、NHKの会長人事をコントロールしていました。メディアを操ろうとする官邸官僚がNHK上層部とパイプを作り、指示を出していました。しかしこれが無くなった今もNHKの上層部は権力に恐れているようです。

 

関連団体

原理研究会

統一原理を研究する学生サークルの連合体(非営利団体)で「カープ」と呼ばれています。元々は反共産主義を謳った団体ですが、要は統一教会の布教の基地で、1950年代から活動しています。有名大学には大体あり、日本では70の大学にあるとされています。「カープ/CARP」とは「Collegiate Association for the Research of Principles」の略です。活動の内容は学生新聞を書いたり、信者を勧誘したり、霊感商法、街頭募金をやっているようです。

国際勝共連合

1968年に結成された統一協会の政治関連団体で、日本の右翼陣営と手を結び、反共産主義を掲げて政治運動をしています。機関紙として思想新聞や世界思想を発行しています。現会長は梶栗正義氏です。この反共産主義思想がポイントで、自民党と組んで、選挙においては組織票を投じたり、ボランティアで選挙活動を手伝ったりし、政治に食い込んでいきました。また議員に無償で働く秘書を送り込んだりもしました。自民党としても有難い存在で、この団体のカルト性は知っていながらも見てみぬふりをして利用してきたということになります。そして旧統一教会はこのように政治と手を結ぶことで、問題を表ざたにされることなく生き永らえてきたということです。持ちつ持たれつの関係です。先の政治の圧力もこの一例です。そして中でも強く関わってきたのが、安倍派(清和政策研究会)所属の議員です。統一教会は選挙となれば数万から十数万の票を持っており、安倍元首相はここ何回かの参院選で、当落線上にいる安倍派の候補者に、統一教会の固い票を割り振ってきたとされています。教団の票がなければ落選していた議員が一定数いるはずで、また地方議員にとってはより重みを持った可能性があります。

世界日報

文鮮明の指示により、統一協会と国際勝共連合が出資して、一般紙を目標に1975年1月1日に設立された世界日報社により発行される新聞です。

 

まとめ

統一教会は文鮮明を教祖として設立した団体で、教義はキリスト教をもじって、自分がキリストの再来であり、人間は生まれながらにして悪であり、それを浄化させるために人は罪を償わなければならないとしています。その行為が教団への献金だったり、布教活動、霊感商法だったりまします。その先には合同結婚式があり、信者にとっては晴れての舞台だそうです。日本人信者は60万人いるようです。大学の原理研究会や街中で正体を隠して布教活動を行っています。しかし教団からしてみたら日本はただの資金集めの場所でしかないようで、集められた多額の資金は韓国やアメリカの布教活動に利用されているようです。

そしてこの団体は政治とも癒着をもってきました。中でも自民党議員が8割を占め、選挙で応援するかわりに、自分等を政治の圧力で守って貰うという関係でした。

統一教会は1990年代に霊感商法で世間からは悪いイメージが持たれましたが、世界平和統一家庭連合と名称を変更し、それからは今まで表に取沙汰されることなく存在してきました。しかし中身は旧統一教会そのもので、安倍派(清和政策研究会)の議員を中心に政治との癒着を強めてきました。

今回は旧統一教会に恨みを持つ山上徹也氏が、旧統一教会と深い繋がりがある安倍元首相の銃撃事件で、これらを一気に世間に暴露した形になります。こんなことを言っては不謹慎ですが、今回の銃撃事件はそれなりに意義があったのではないでしょうか。少なくとも教団にしてみれば相当な痛手で、これから警戒して入信者が減ることが予測され、日本でまとまった資金を集めるのも難しくなりました。山上徹也氏にしてみれば十分に目的を達成させることができたのではないでしょうか。そして今回の件は政治と宗教の関わりという大きな問題を露呈することとなりました。

 

疑問

これからも政治と旧統一教会は結びついていくのか?

自民党は8月31日の役員会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体と一切関係を持たないとする基本方針を決めました。方針を順守しない所属国会議員には、離党を求めることも含め厳しく対応するようです。基本方針は岸田首相の指示で策定し、「今後、旧統一教会や関連団体とは一切関係を持たない」と強調しました。

これを受け同日、7月の参院選の比例代表で当選した自民党の井上義行議員が「今後は党の方針に従って、一切の関係を断ちます。」とコメントを発表しました。井上氏は選挙期間中の7月6日、さいたま市文化センターで開催された旧統一教会の集会に参加し、幹部から「うちの教会、うちの組織もたくさん問題があります。この問題を支援してくださる方が井上義行先生でございまーす。井上先生はもうすでに信徒となりました。私も大好きになりました」と持ち上げられ、会場からは「井上義行コール」が沸き起こったのは記憶に新しいです。井上氏は安倍の元首相秘書官で、2019年の参院選に全国比例から出馬したが、約8万8000票で落選しました。しかし7月の参院選は、旧統一教会の全面支援を受けた結果、3年前の2倍近い16万5000票余りを獲得し当選しました。しかし今回が旧統一教会が社会問題化すると、一転絶縁宣言です。旧統一教会の支援で当選した井上氏は6年間の議員生活を手に入れ、その間手にする歳費は1億3080万円。さらに月100万円の調査研究広報滞在費、年間780万円の立法事務費が加わり、これだけで2億4960万円の収入になります。保身のためなら、なりふり構っていられなかったようです。

また、9月2~4日、読売新聞社が実施した全国世論調査で、安倍晋三元首相の国葬を実施することに、「評価しない」が56%(前回調査46%)で、「評価する」の38%(前回49%)を逆転しました。このことは旧統一教会と自民党の関係がどんどん明るみになるに従って国葬に反対する人が増えて言ったのは明らかです。外国から来る要人の警備費や滞在費も含めると100億円以上もかかるという声もあり、総理は説明責任を果たす責任がありますが、臨時国会は開かず、閉会中審査のテレビ中継での説明に留めるようです。

旧統一教会との関係を一切断つにもかかわらず、国葬を行うなら、少なくとも安倍氏と旧統一教会の関係を精査すべきでないかという質問に対して、総理は「御本人が亡くなられた今、十分に把握するということについては、限界があるのではないかと思っています。」と答えました。つまり精査しないということです。本当に一切断つならその証として、これはやって貰いたいところです。どうも口では言うものの、すぐには完全には断ち切れないというのが実情だとお思います。岸信介の頃からズブズブだったのですから、逆にすぐに断つというのは無理があると見るのが自然だと思います。

暴かれてしまった旧統一教会は、これから日本で信者の拡大、献金集めを続けていけるのか?

今回の件で暴かれてしまって、旧統一教会は日本で信者の拡大、献金集めは相当やりにくくなったのは確かだと思います。追い詰められてる感は諫めません。しかし日本人はスピリチュアルに弱く、彼らは何かしら形を変えて勧誘し続けるのではないかと思われます。宗教の自由が認められている日本ほど集金しやすい所はないからです。

霊感商法はどうなっていくのか?

今までは消費者庁が霊感商法に対して後手に回っていましたが、河野太郎消費者相は4日のフジテレビ番組で、「(宗教団体の)解散命令まで消費者庁が関わったり、解散命令まで踏み込めと文部科学省に働きかけたりすることになるかもしれない」と語っていました。しかしどれぐらい本気かは分かりません。法的に改正されるのかも分かりません。少なくとも今までよりも規制が入るのは確かだと思います。

2回目の緊急事態宣言の効果とその後

記事編集日 2021.4.19

約2か月半にわたった首都圏1都3県の緊急事態宣言は3月21日で全面解除されることになりました。今回はこの2回目の緊急事態宣言の意義と解除後の動向、新型コロナに対して世界ではどのようになりつつあるのかをまとめました。

 

新型コロナによる2回目の緊急事態宣言の意義と解除後の動向

3月21日をもって関東一都三県の緊急事態宣言が解除されました。

宣言直後の1月8日の新規感染者7949人が最大で、以降徐々に減少していって3月8日は最小の600人まで下がりましたから、緊急事態宣言の意義は十分にあったと思われます。しかし緊急事態宣言が解除されると人との接触が増えますので、また最近増加傾向にあります。2回目の緊急事態宣言は会食にフォーカスを当てて十分な効果がありましたが、その効果が弱まっているのが現状です。

一足先に解除された関西圏の大阪府や兵庫県はすでに感染者は明らかな増加傾向となっており、飲み歩く人が増えたことを考えると、やはり会食が感染拡大の原因になっているのは明らかです。今回の緊急事態宣言は、この原因がはっきりしたのが大きいと思います。

 

これは3月30日の都道府県別に見た新規感染者数ですが、大阪は既に東京を超えています。そして31日には大坂で590人、東京で414人の新規感染者が確認されています。

 

ワクチン接種

新型コロナのワクチン接種が2月17日より開始されました。

3月31日時点では総接種回数は100万回を超えています。対象は16歳以上で1人2回分が無料で受けれます。先行医療従事者から始まり一般の方には郵送で届くようです。ワクチンはファイザー社製です。

 

我々一般人が受けれるのはもう少し先になりそうです。海外で開発・承認されたワクチンには主に米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカ、米ジョンソンエンドジョンソン社製のものがあります。他にも中国製やインド製、ロシア製のものも使われています。特に中国は新興途上国を中心に輸出を続け、生産量も約2憶3千万回分と欧米を圧倒しています。これは先進国のワクチンが中々手に入りにくい、中低所得国の限られた選択となっている面もあります。

 

mRNAワクチンとは新型コロナウィルスの遺伝子情報を持ったmRNAを投与することで、体内で新型コロナの抗原タンパク質に翻訳され、体内の免疫機構によってそれに対する抗体ができるという仕組みです。従来の不活化ワクチンに比べて短時間で安全に作れるメリットがあります。一方新しい技術なのでどのようなリスクがあるかは分かっておらず、冷凍輸送や保管設備が必須です。有効性が95%というのが凄いところで、一般のインフルエンザワクチンでも50%を目安に作られています。

ワクチンの副反応として接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、発熱等がありますが数日で軽快へ向かうようです。

 

新薬

新型コロナウィルスの治療薬の開発も、病態の解明が進むにつれて加速しおり、年内にも実用化される見通しがたってきました。新型治療薬で注目を集めるのは米メルクやスイスノバルティスです。感染割合を統計的に評価できるワクチンに比べ、発熱や咳等の症状改善、入院期間の短縮、死亡率の変化等多岐に渡る項目で評価しなければいけないため治療薬の開発は遅れてきました。世界的な封じ込めにはワクチンと新薬の両方が必要です。

 

まん延防止措置

「まん延防止等重点措置」の適用が5日、大阪、兵庫、宮城の3府県の計6市で始まりました。これは緊急事態宣言とは似て非なるもので、政府が指定した都道府県の知事が市町村単位で適用できるものです。飲食店に対して時短のみ要請や命令が可能で、従わない場合は20万円以下の罰金が科せられます。期間は大型連休を含む5月5日までの1カ月間です。厳しい時短要請に繁華街は嘆くよりありません。

 

大阪の新規感染者数の推移

 

兵庫の新規感染者数の推移

 

宮城の新規感染者数の推移

 

東京の新規感染者数の推移

東京に比べ、大阪、兵庫、宮城は新規者数が激増しています。これを見ても分かるように緊急事態宣言にはやはり効果があったと言えそうです。大阪は2月末で緊急事態宣言が解除されましたが、一ヵ月でまた厳しい対策を講じなければならない羽目になりました。JR大阪駅では5日朝、大勢の利用客が行き交う普段と変わらない通勤風景が見られています。

東京都でも7日新規感染者が2ヶ月ぶりに500人を超えたことから、蔓延防止措置の要請準備に入りました。

 

変異株の拡大

新型コロナの変異株も大阪、兵庫を中心にだんだん国内で増えてきています。

変異株とは新型コロナの遺伝子が突然変異を起こしたもので、これまでのものより感染力が高く、重症化しやすい傾向にあります。新型コロナウィルスも生命体ですので、生命維持のためよりパワーアップする方向に進化していくということです。

 

変異型も世界各国で1000以上確認されており、中でも英国変異株、南ア変異株、ブラジル変異株、フィリッピン変異株が世界で広がっています。中でも英国型は感染力が従来のものより4割も高く重症化もしやすいです。変異株は子供にも感染し、国内では10歳未満で12%と40台に次ぐ多さです。

仙台市では2月以降に新型コロナが確認された検体の一部を解析した結果、8割にE484K変異が確認されたようです。

従来のPCR検査では変異型かどうかまでは分からず別のPCR検査が必要なため検査自体が難航していましたが、変異型の陽性者数が増えているため政府は抽出割合を4割に増やしていくようです。

4月中旬には変異株は国内で主流になってきて、新規感染者の8割は変異株に置き換わっています。関西では英国型が8割を占め、関東では発生地が不明のR1系統と呼ばれるものが46%を占めます。R1系統はワクチンの予防効果が低くなるなど免疫系統を下げる恐れがあり警戒が必要です。

 

世界の情勢

新型コロナの世界情勢は日本の変化を拡大したものと似ています。2月半ばには新規感染者数が激減したもののまた徐々に増えてきており、第4波と言っていい感じです。欧米では減ってきたもののブラジルやインドでの拡大が深刻です。

 

経済

米労働省が2日発表した3月の雇用統計によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は前月比91・6万人増と2月(46・8万人増)から伸びが大幅に拡大し、失業率も6.0%と、前月(6・2%)から改善しました。新型コロナウイルス感染の減少やワクチンの普及を受けた経済活動の再開で、雇用回復ペースが加速していることが示されています。そしてそれを受けNYダウも5日3万3527ドル19セントと過去最高値を更新しました。

 

4月7日時点ドル/円の月足と株価です。この3カ月で随分と回復したのが分かります。

 

後遺症

新型コロナの後遺症に苦しむ人が増えています。後遺症には味覚嗅覚障害、倦怠感、息苦しさ、脱毛、睡眠障害、記憶障害、頭痛、間接通等があります。後遺症に苦しむ人の中には休職や退職追い込まれる人も少なくなくありません。後遺症は分かっていないことが多く、医療機関に診断書を依頼しても断られるケースが多いです。症状の多様性や一般の臨床検査では異常が見つからないことが診断を難しくしているからです。

 

WHOの中国調査団

世界保健機構(WHO)の中国調査団は30日、新型コロナウィルスの起源は動物から中間宿主を通じて人に感染したとの仮説が最も有力と発表しました。一方武漢の研究所からウイルスが流出したと疑う説は「極めて可能性が低い」とほぼ否定し、米国が主張した研究所からの流出説は極めて可能性は低いと結論付けました。

しかしこの調査に納得する人は極めて少ないです。1年以上も経った後の調査で、証拠を隠蔽するに十分な期間ですし、中国が最初に調査を拒んでいた理由も分かりません。改ざんされた設備を見せつけられてそのまま評価したとしか思えません。

 

増える大麻押収量

コロナ禍で大麻の押収量が4割も超えました。これはアメリカの一部の州やカナダで合法化された液状大麻で、航空貨物を使った密輸によって日本へ入ってきたものです。ネットでも入手できてしまうので、大学の運動部員による大麻使用が相次いで発覚したり、タレントや俳優などの著名人だけでなく、一般社会にも大麻が広がっている現状が浮き彫りになっています。

合法化を望む声も意外に多いですが、人体に有害な薬物ですので日本で合法化されることはまずないと思います。

 

まとめ

変異株の広がりは懸念されますが、ワクチンの接種開始や新薬の最終段階と第4波が見えている中で割といいニュースが多い感じがしました。この一年で大分新型コロナに対しての解明が進んだからだと思います。アメリカの経済回復というのは今後の明るい兆しを示しているかのようです。

しかし日本で言えば大阪、宮城、神戸と蔓延防止措置を取らなければならなくなるほど増えており、これは緊急事態宣言を解除した東京での今後を予測するのに悪いニュースです。7日の東京の新規感染者は555人と2ヶ月ぶりに500人を超えました。同日大阪では719人と過去最高で重症用病床の使用率が70%以上と大阪モデルで最も深刻な状況を示す赤信号と医療非常事態宣言が出されています。この一年はやはり苦しい一年になりそうです。