カリビアンスタッドポーカーの遊び方と期待値最大の賭け方

カリビアンスタッドポーカーは、元はカリブ海諸島域のカジノや遊覧船で行われていた客対胴元のゲームでしたが、アメリカ本土へ1980年代の終わり頃に持ち込まれました。このゲームは展開によってはプレイヤーにストレスを与えるところがあり、1990年中頃からは類似のゲーム性を持つスリーカードポーカーへ人気が移行していきました。

 

カリビアンスタッドポーカーはカジノポーカーの中では初期の頃のゲームですが、今回はEvolution Gamingのライブゲームにあるこのゲームの性質と、期待値が最大となる賭け方について考えてみたいと思います。

 

カリビアンスタッドポーカーのルールと配当

カードは毎回シャッフルされた52枚1デッキのカードを使います。勝負はプレイヤーに配られた5枚のカードで最強の役を作り、ディーラーも同じように配られた5枚のカードで最強の役を作り、どちらが強いか勝負します。流れは以下を見て下さい。

 

1)ANTEを置く

最初に参加料としてANTEを置きます。ベット額はベラジョンカジノでは$1~1,500でした。

 

2)プレイを続行するか決める

プレイヤーに表向きに5枚のカードが配られ、ディーラーには表向きに1枚のカードが配られます。これを見て勝てそうかどうか判断し、プレイを続行するかどうかを決めます。続行するならPLAYにANTEの倍額を置かなければなりません。フォールドするならANTEは没収となります。

 

3)ショーダウン

ディーラーにも残りのカードが4枚表向きに配られ、どちらが強いかを競います。勝敗のルールは以下に従います。

ディーラーはAの他にK以上のカードを持っていなければクオリファイ(資格あり)と見なされず、プレイヤーのカードに関わらず、自動的にプレイヤーの勝ちとなります。ノークオリファイならANTEは倍となり、PLAYはそのまま返金されます。

この場合ディーラーはKハイなので、ノークオリファイとなりプレイヤーの勝ちとなります。ピンクのチップがリターンの額となります。ANTEに$1賭け、PLAYに$2賭けましたので、ANTEが$2になり、PLAYの$2がそのまま返金され、計$4のリターンとなります。

結果の早見表
結果 ANTE PLAY
ディーラーがクオリファイせずプレイヤーの勝ち 1:1 プッシュ
ディーラーがクオリファイしてプレイヤーの勝ち 1:1 プレイベットに従う
ディーラーがクオリファイしてプレイヤーの負け 負け 負け
ディーラーがクオリファイして結果がタイ プッシュ プッシュ
プレイヤーがフォールド 負け

 

プレイベット
配当
ロイヤルフラッシュ 100:1
ストレートフラッシュ 50:1
フォーカード 25:1
フルハウス 10:1
フラッシュ 7:1
ストレート 5:1
スリーカード 3:1
ツーペア 2:1
ワンペア以下 1:1

 

例1) ノークオリファイ

ディーラーがハイカードのA,Qなのでノークオリファイとなり、プレイヤーのANTEが倍となって戻てきます。これがもしA,Kだったらクオリファイとなり、ANTEだけでなくPLAYも倍となって戻ってきます。

尚ハイカードとはワンペアもできなかった場合は最もランクの高いカード(A~2)が比較されます。ハイカードが同じだった場合は降順に比較して勝敗を決めます。

 

これもディーラーがノークオリファイなため、プレイヤーがスリーカードでも結果は上と同じになります。(ANTEが倍)

もしプレイヤーがロイヤルフラッシュでディーラーがノークオリファイだったらどうでしょうか。それでも結果は同じになってしまうのです。ここら辺が展開次第ではプレイヤーにストレスを与えるといった所なのです。このゲームの欠陥ですね。

 

例2) クオリファイ

ディーラーがペアでクオリファイなので、Jのペア対4のペアでプレイヤーの勝ちとなり、ANTEが倍になり、PLAYもワンペアなので倍となって戻ってきます。

もしプレイヤーがストレートで勝っていたら、ANTEが倍、PLAYは6倍となって戻ってきます。

 

サイドベット

サイドベットには5+1BONUSというものがあり、ANTEを置くとその権利が与えられます。プレイヤーの5枚のカードとディーラーの最初の表向きのカードで、スリーカード以上のファイブカードポーカーハンドができると配当が付きます。

サイドベット
配当
ロイヤルフラッシュ 1000:1
ストレートフラッシュ 200:1
フォーカード 100:1
フルハウス 20:1
フラッシュ 15:1
ストレート 10:1
スリーカード 7:1

 

最適なプレイにおける理論上の還元率

96.3%ですが、賭け金額合計においては98.19%です。これはフォールドするケースもあるため、前者の方が少し低くなります。サイドベットに関しては91.44%です。

 

ゲームの性質と急所を考える

このゲームはANTEを置いてしまえば、プレイヤーに選択の余地があるのはPLAYするかフォールドするかの2択だけです。自分の5枚のハンドと、ディーラーの1枚のカードを見て決めるというわけです。そしてディーラーにはクオリファイの有無があり、ハイカードA,Kを満たさなければ自動的にプレイヤーの勝ちとなる点も見逃せません。これらを加味してどこにPLAY/フォールドラインを定めるかということです。

まずは52枚のカードから、ランダムカード5枚でできる役の組み合わせを見てみます。

 

ロイヤルフラッシュ

A~Tまでの同スーツ(♠♣♥♦)で計4通り

 

ストレートフラッシュ

K~9、・・・・、5~A までの同スーツ(♠♣♥♦)で9×4=計36通り

 

フォーカード

A~2までのフォーカードとそれを除く1枚のカードで13×48=計624通り

 

フルハウス

スリーカードとワンペアの組み合わせで13C2×4C3×4C2×2=計3744通り

 

フラッシュ

スーツが同じ5枚のカードでスーツは♠♣♥♦、更にストレートフラッシュを取り除き(ロイヤルフラッシュを含む)13C5×4-4-36=計5108通り

 

ストレート

A~T、・・・・、5~A までの組み合わせから同スーツ(♠♣♥♦)を除き10×4⁵-4-36=計10200通り

 

スリーカード

スリーカードとワンペアを除く他2枚のカード13×4C3×12C2×4²=計54912通り

補足:12C2×4²はワンペアを除く他2枚のカードとそのスーツの決定

 

ツーペア

ワンペア2組と他1枚のカード13C3×3×4C2×4C2×4=計123552通り

 

ワンペア

ワンペアと他3枚のペアにならないカード13C4×4×4C2×4³=計1098240通り

補足:4C2はワンペアのスーツの決定、4³は他3枚のカードのスーツの決定

 

ハイカード

ストレートにならない異なる数5枚のカードからフラッシュの組を取り除く(13C5-10)×(4⁵-4)=計1302540通り

 

AKハイ

ストレートにならない異なる数5枚のカードからフラッシュの組を取り除く(11C3-1)×(4⁵-4)=計167280通り

補足:-1はQ,J,Tの組、-4は4通りのフラッシュの組

 

52枚のカードから5枚のカードを取る組み合わせ

52C5=計2598960通り

補足:4+36+624+3744+5108+10200+54912+123552+1098240+1302540=2598960

 

ディーラーがクオリファイする確率

1-(1302540-167280)/2598960=1-1135260/2598960=1463700/2598960=0.5631868・・・≒0.56

補足:クオリファイしない確率の余事象を考える

 

ストレート以上になる確率

(4+36+624+3744+5108+10200)/2598960=19716/2598960≒0.007586

 

ツーペア以上になる確率

(2598960-1302540-1098240)/2598960=198180/2598960≒0.07625

 

ワンペア以上になる確率

(2598960-1302540)/2598960=1296420/2598960≒0.4988

 

これらを踏まえてディーラーは約56%の確率でクオリファイすることになるため、プレイヤーはノークオリファイを狙って、何でもPLAYするのは損をする賭け方だという事が分かります。

一方プレイヤーの利点として、ハンドを見てからPLAYするか決めれるため、いい役ならPLAYして悪ければフォールドしてしまうという選択もあります。しかしワンペア以上になる確率はほぼ50%で、ツーペア以上になる確率は約7.6%、比較的高配当のストレート以上になる確率は1%にも未足りませんので、ツーペア以上を待っていたら9割以上は損切りすることになり、損は明らかです。

そして厳しいのはストレート以上になったとしても、ディーラー早く44%の確率でノークオリファイとなりPLAYの配当が受けれない点です。

以上より私の考えではワンペアもしくはAKハイ、ここら辺が妥当な線引きとなりそうです。

もう一点はディーラーの最初のカードがPLAYの有無に影響するかどうかです。プレイヤーがハイカードで明らかに負けてる場合は勿論フォールドですが、それ以外は影響は小さいだろうと思われます。

 

実戦と結果

こちらもディーラーと同じくAKハイ以上ならPLAY、そうでなければフォールドして資金の推移を見てみようと思います。ラッキーニッキーカジノでANTE$0.5で実施しました。

100ハンドの結果
ハンドの結果 プレイヤー ディーラー
フォールド(ノークオリファイ) 47回 53回
AKハイ 5回 4回
ペア 43回 39回
ツーペア 5回 3回
フォーカード 1回

トータル賭け額:$116 トータル収支:-$13 実施時間:1時間40分(2023.2.8)

大体プレイヤーもディーラーも似たような結果の分布となりました。互いに5枚ずつカードを配り勝負するだけですので、こうなるところです。AKハイ未満のフォールド/ノークオリファイも大体半分ぐらいで想定通りでした。他も大体確率通りだったと思います。そしてトータル収支も想定内でした。実戦での還元率は103/116×100≒88.8%になります。

 

ゲームの考察と面白かったハンド

平日昼の時間帯ですが、カリビアンスタッドポーカーは他のポーカーと比べても決して人気のあるゲームでは無かったです。これはやはり勝ちにくさと、大勝できる可能性のある役のできにくさと、それができたところで約半分の確率でノークオリファイになってしまう厳しさにあると思います。実際にやってみて勝ちにくいポーカーだというのは実感しました。しかし勝てないなりにAKハイでPLAYの線引きをしたのは、あながち間違っていなかったと思います。

 

そして相当にフォールドしなければいけないゲームです。例えばこのハンドですが、71%の人がプレイしていましたが、それは間違いです。AQハイは確かに強いハンドに見えますが、ディーラーは約56%の確率でクオリファイ(AKハイ以上)してしまうのです。分かりやすく$1賭けたとして、フォールドしますと期待値は-$1ですが、PLAYすると0.44-0.56×3=-$1.24となってしまうのです。よって損失を最小に抑えるフォールドが正解となります。

 

テキサスホールデムボーナスポーカーで以前対戦したことがあるKRISTINAさんです。美人だったので覚えていました。久々にお会いできて、マスクを取った顔が見れて嬉しかったです。

 

ディーラーですが9のフォーカードがありました。

 

一番興奮したのはこのハンドで、のストレートフラッシュのリャンメン待ちになって最後に何が出るかという場面でしたが、おしくも♠Kでした。

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