カジノホールデムのルールと実戦から基本戦略を作る
- 2019/07/05
- ポーカー
カジノホールデムとは2000年にステファン・オーヤング(Stephen Au-Yeung)が作ったゲームです。歴史的には浅いですが、アクションがシンプルであるということ、控除率が自然確率に則っておりカジノゲームにマッチした低さであるということ、そしてポーカーのテキサスホールデム上のルールであるということで、よくできたゲームであると認められ、世界中のカジノで取り入れられるようになってきました。ここではそのルールと性質、基本戦略を紹介してみたいと思います。
カジノホールデムのルール
サイドベット
基本戦略に基づいた還元率
ゲームの特徴と性質
実戦
考察と基本戦略の組み立て
ドローハンド
フラッシュドロー
ストレートドロー
ドローハンドのまとめ
カジノホールデムをプレイできるオンラインカジノ
カジノホールデムのルール
1デッキ使用(ジョーカーを除く52枚)で、基本的にはディーラー(カジノ側)とプレイヤーの勝負になります。客同士で対戦するポーカーとは違います。プレイヤーがアンティ(参加料)を払うとプレイヤーに表向きに2枚、ディーラーに裏向きに2枚、コミュニティーに表向きに3枚のカードが配られます。ここで勝負するかどうかを決め、勝負するならアンティの倍額をコールしなければなりません。フォールドすればアンティは取られます。アクション(選択の余地)はここだけです。
コールするとこのように倍額更に追加することになります。するとコミュニティーに残りの2枚のカードが表向きに配られ、ディーラーの2枚のカードが表に返され勝負ということになります。
それぞれ手札2枚と5枚のコミュニティーから最強の役になる3枚を選び、計5枚のカードで役の高さを競うことになります。この時ディーラーには制限があり、4のペア以上の役がない場合は失格(ノークオリファイ)となってプレイヤーの勝ちとなります。コールとアンティの分は戻され、プレイヤーの役に応じてアンティの配当を受けることになります。ディーラーがクオリファイの場合は、プレイヤーが勝てば、コール分の配当と役に応じたアンティの配当を受けることになります。(勿論コールとアンティの分は戻ってきます。)ディーラーが勝ちならばコールとアンティは没収ということになります。
上の場合はディーラーがストレート、プレイヤーがノーペアですのでディーラーの勝ちとなりました。
役 | 配当 |
ロイヤルフラッシュ | 1:100 |
ストレートフラッシュ | 1:20 |
フォーカード | 1:10 |
フルハウス | 1:3 |
フラッシュ | 1:2 |
ストレート以下 | 1:1 |
例1) ノークオリファイ1
ディーラーにペアができず、無条件でプレイヤーの勝ちとなりました。アンティ$1とコール$2の分は戻ってきて、役はハイカードですのでアンティの配当$1を受け取ることになります。合計$3ベットで、$4のリターンで、$1勝ちということになります。
例2) ノークオリファイ2
ディーラーが3のワンペア、プレイヤーはツーペアで勝ちですが、ディーラーはノークオリファイですので、アンティの配当のみで、合計$3ベットで、$4のリターンで、$1勝ちということになります。
例3) キッカー勝ち
役は同じTのペアで、ファーストキッカーAも同じですが、セカンドキッカーの差(プレイヤーQ、ディラーJ)でプレイヤーの勝ちとなりました。ディーラーはクオリファイですので、プレイヤーはコールとアンティの配当を受け、合計$3のベットで$6のリターンで、$3の勝ちということになります。
例4) プッシュ
同じツーペアでキッカーも同じですので、賭けた分はそのまま戻ってきました。
例5) フラッシュ
ディーラーはツーペア、プレイヤーはフラッシュで勝ちです。コール分の同額配当とアンティの2倍の配当(フラッシュだから)を受け取ることとなり、合計$3のベットで$7のリターンで、$4の勝ちということになります。
サイドベット
AABONUSというのがサイドベットになりますが、これは単体では賭けることができず、アンティを置いたもののみが発生する権利となります。手札2枚と最初のコミュニティーカード3枚で、Aのワンペア以上できれば配当となります。
役 | 配当 |
フラッシュ以上 | 1:25 |
Aのペア~ストレート | 1:7 |
基本戦略に基づいた還元率
NetEntのCasino Hold ‘emによりますと、メインゲームは98.7%、サイドベットは89.6%とあります。カジノホールデムの基本戦略といったものがどういうものなのかは分かりませんが、それによりますとメインゲームでは、100%を少し割った98.7%みたいです。どんなに理想的な戦略でも99.18%を越えることはないとあります。ここら辺がよくできたところで100%を越えてしまってはカジノ側の利益が出ませんので、ほぼイーブンでややカジノ側が有利といったところがカジノゲームに則したところなのです。テキサスホールデム上のルールでこのような数字になるのですから、美しいとは思いませんか。尚サイドベットは配当は高いものの、最初の5枚のカードのみでAのワンペア以上を作るというのがハードルが高く還元率はよくありません。
ゲームの特徴と性質
プレイヤーとディーラーで何も条件がなく、ただカードをディールするだけで勝負をするなら勝率は互角になりカジノに利益は出ません。それではこのカジノホールデムといったゲームが、どの辺にカジノの有利差があるのかを考えてみます。
まずこのゲームで特徴的なのが、ディーラーは4のペア以上でないと失格(ノークオリファイ)になるとありますが、これはどれくらいの確率で起こるのでしょうか。調べてみましたところ、24.15%もありました。これはほぼ4回に1回はプレイヤーが無条件で勝ててしまうことを意味します。一見プレイヤーにすごく有利なように見えますが、この時はコール分の配当はついてこないのです。ここがミソで実はプレイヤーが損しているところなのです。
先程の例2)でディーラー3♥3♦A♣K♣J♦、プレイヤー5♦5♥3♦3♥A♣、の場合ノークオリファイとなって、プレイヤー勝ちでもアンティの配当のみで、合計$3ベットで、$4のリターンで、$1勝ちとなります。しかしこれが逆のケースで、ディーラー5♦5♥3♦3♥A♣、プレイヤー3♥3♦A♣K♣J♦ですと、プレイヤーの負けで合計$3分消失してしまいます。同じ確率で起こるはずなのにプレイヤーが勝った時の配当がアンティのみなので、長期的にはプレイヤーが損してしまうのが分かります。
ただそれですとあまりにもプレイヤーに不利ですので、役の配当を上げることで還元率を理想的な98.7%にも上げているのです。
実戦
このゲームのプレイヤーの選択肢はフロップ時のコールかフォールドしかありません。ディーラーのノークオリファイが24.15%もあるため、ほとんどはコールする方が良さそうです。まずは30ハンドほど(本当は100ハンド以上の方がいいが大変なので)プレイしてみて全てでコールするとどうなるかを見てみます。アンティは全て$1とします。
例 | プレイヤーハンド | ディーラーハンド | コミュニティーカード | クオリファイ有無 | 結果と配当もしくは損失 |
例1 | 7♦4♦ | Q♣6♠ | A♦J♦6♥ 5♥3♦ | ○ | フラッシュ対6のペアでプレイヤーの勝ち配当$4 |
例2 | 5♠8♠ | 9♣7♣ | A♣T♦7♥ 3♥2♣ | ○ | Aのハイカード対7のペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例3 | 3♦7♦ | 8♥9♣ | 7♥7♠Q♥ T♥4♦ | ○ | スリーカード対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例4 | J♠A♥ | T♦5♠ | J♣8♥7♦ 5♣4♣ | ○ | Jのペア対5のペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例5 | 2♥5♠ | 8♣7♥ | Q♥Q♠T♣ 6♥3♣ | ○ | 互いにQのペアだけどセカンドキッカー6対8でディーラーの勝ち損失$3 |
例6 | K♥A♣ | 6♣2♠ | K♠T♥8♣ 6♦3♣ | ○ | Kのペア対6のペアでプレイヤー勝ち配当$3 |
例7 | 6♣2♦ | J♦T♦ | K♥J♥8♦ 6♠4♥ | ○ | 6のペア対Jのペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例8 | 4♠K♥ | Q♥T♠ | J♣J♠K♣ 6♣4♣ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例9 | Q♥K♥ | 6♠9♣ | T♦9♥7♠ 3♠2♥ | ○ | ハイカード対ペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例10 | 9♠8♠ | Q♣9♦ | A♣Q♠6♠ 4♥2♦ | ○ | ハイカード対ペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例11 | 6♦K♥ | Q♥2♥ | 9♣9♦A♣ 7♠2♣ | ○ | ペア対ツーペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例12 | 6♠3♣ | 2♣J♠ | 2♦2♠T♥ Q♦6♣ | ○ | ツーペア対スリーカードでディーラーの勝ち損失$3 |
例13 | 4♥K♥ | A♥K♦ | Q♣J♦T♣ 7♦6♠ | ○ | ハイカード対ストレートでディーラーの勝ち損失$3 |
例14 | 7♠7♥ | 2♣4♦ | 9♣9♥K♥ Q♥6♦ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例15 | 2♥A♣ | 6♦8♠ | 9♦9♥K♠ T♠2♦ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例16 | K♥7♠ | 6♥J♦ | K♣9♣8♥ 7♦5♠ | ○ | ツーペア対ストレートでディーラーの勝ち損失$3 |
例17 | 2♦4♦ | T♥J♠ | 5♥5♦7♥ 4♠2♣ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例18 | 2♥5♠ | J♦3♣ | K♣Q♦J♠ 7♣5♥ | ○ | 5のペア対Jのペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例19 | 3♥8♥ | Q♠J♥ | A♦Q♣7♦ 4♠2♦ | × | プレイヤーの勝ち配当$1 |
例20 | 6♦A♠ | 4♦A♣ | 6♠6♣3♣ 3♠K♠ | ○ | フルハウス対ツーペアでプレイヤーの勝ち配当$5 |
例21 | 6♦Q♠ | A♠7♦ | K♣K♦J♦ 7♠3♦ | ○ | ペア対ツーペアでディーラーの勝ち損失$3 |
例22 | T♦Q♦ | T♥8♠ | 3♣3♠A♠ J♠Q♦ | × | プレイヤーの勝ち配当$1 |
例23 | 8♣T♥ | 9♣7♠ | 5♦5♠Q♠ T♠4♣ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例24 | 4♦Q♦ | 6♣5♠ | A♣A♥8♦ 4♥3♥ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例25 | T♦T♠ | 4♣5♥ | Q♥J♣9♦ 8♦4♦ | ○ | ストレート対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例26 | K♦J♦ | 9♠8♦ | A♥A♠Q♦ 5♦2♦ | ○ | フラッシュ対ペアでプレイヤーの勝ち配当$4 |
例27 | A♥5♠ | 4♣3♠ | K♦T♦8♥ 3♥2♦ | × | プレイヤーの勝ち配当$1 |
例28 | T♦Q♣ | J♠Q♥ | 9♣9♥Q♠ 6♣3♣ | ○ | ツーペア対ツーペアだけどT対Jのキッカー負け損失$3 |
例29 | 2♠Q♣ | T♣2♦ | 9♦9♠A♥ Q♦6♣ | ○ | ツーペア対ペアでプレイヤーの勝ち配当$3 |
例30 | 8♦5♣ | 4♠A♣ | 7♦7♠6♠ 6♦T♣ | ○ | ツーペア対ツーペアだけどT対Aのキッカー負け損失$3 |
考察と基本戦略の組み立て
サンプル数が少なくて申し訳ないのですが、全てのハンドでコールしても善戦できるのが分かります。結果も+$14でした。これは勿論運なのですが、ハンドがどんなに悪くてもひどいキッカー負けを起こすケースは意外に少ないです。ツーペアのような他の役が絡んだりコミュニティーカードでキッカーが賄えることもあるからです。またノークオリファイは3回ありましたが、そのうち一回はプレイヤーがノーペアでディラーが3のワンペアで、負けていたのに勝ちだったというケースもありました。このようなケースもありますので、典型的に負ける確率が高いケースを除いて全てでコールして十分だと思います。しかしこれはあくまでカジノゲームですので、長くやっていると必ず大数の法則が働いて控除率が運を越える時がいきます。
対象例 | プレイヤーハンド | フロップカード | 説明 |
例5 | 2♥5♠ | Q♥Q♠T♣ | キッカーの弱いゴミハンドで、フロップに絡まなく、クオリファイを決定させるペアボードの時は、アウツはほぼ6枚(この場合は2と5)しかないのでフォールドする方がいい。 |
例7 | 6♣2♦ | K♥J♥8♦ | キッカーの弱いゴミハンドで、フロップに絡まなく、2枚共フロップのカードより弱い時は、クオリファイは決定していなくてもキッカー負けするケースが多いのでフォールドが無難。 |
そしてこれらの典型的に負ける確率が高いケースを除いて全てコールしていくのが、このゲームの基本戦略となります。尚フロップに絡み合うとは下記のドローをご参照下さい。
ドローハンド
ドローハンドとは、あと1枚で役が完成するよなハンドをいい、フラッシュやストレートで用いることが多いです。対人ポーカーではこのようなハンドではセミブラフというテクニックを使って、相手をフォールドさせるなり、コールしてきたとしてもそこそこの確率で役を完成させられることができますが、このゲームではブラフというテクニックは無いですので、ポットオッズという概念で捉えることになります。
フラッシュドロー
例1のようにプレイヤーのハンドが7♦4♦、フロップがA♦J♦6♥のような場合、後1枚♦が落ちればフラッシュが完成します。これをフラッシュドローといい、後2枚で♦が落ちる確率は35%です。ディーラーがクオリファイなら、アンティで$1ベットしてたとして、$2の投資で$7(アンティ分$1+コール分$2、アンティの勝ち分$2+コールの勝ち分$2)を競ることになります。ポットオッズと言う概念で見てみますと、この場合2/7≒28.6ですので28.6%の勝率があれば見合うことになります。35>28.6ですので十分に見合うことになり、このゲームではフラッシュドローの場合はコールするのが長期的に利益を生むことになります。尚例24のように、プレイヤーのハンドが4♦Q♦、フロップがA♣A♥8♦のような場合は、フラッシュ完成に後2枚共♦が落ちねばなりません。これをランナーランナーといいますが、確率は10/47×9/46≒0.042となり4.2%しかないので、フラッシュ狙いでコールするのは拙いです。
ストレートドロー
例25のようにプレイヤーのハンドがT♦T♠、フロップがQ♥J♣9♦のような場合、後2枚の内8かKが落ちればストレートになります。これをストレートドローと呼び、特にリャンメン待ちの状態(この場合は8かK)をオープンエンドストレートドローと言います。オープンエンドストレートドローですと、後2枚でストレートが完成する確率は31.45%です。ディーラーがクオリファイなら、アンティで$1ベットしてたとして、$2の投資で$6(アンティ分$1+コール分$2、アンティの勝ち分$1+コールの勝ち分$2)を競ることになります。この場合2/6=0.333ですので、31.45<33.3で僅かに見合わない計算になります。しかしアンティに$1ベットしてたとして、フォールドするために$1が無くなることを考えれば、やはりこのゲームではオープンエンドストレートドローの場合はコールが正しいのです。尚例9のように、プレイヤーのハンドがQ♥K♥、フロップがT♦9♥7♠の場合のような単騎待ちの状態(この場合はJ)をガットショットストレートドローと言いますが、これを引ける確率は16.5%しかありませんので、ストレート狙いでコールするのは拙いです。
ドローハンドのまとめ
このゲームでは、フラッシュドローとオープンエンドストレートドローでは、コールするのがはっきり正しいプレイで、ドローハンドのうちこれらの状態をフロップに絡み合っている状態といいます。
カジノホールデムをプレイできるオンラインカジノ
カジノホールデムはライブゲームとテーブルゲームでプレイできます。どこのカジノにも大体一つづつライブゲームとテーブルゲームで設置されているみたいです。どちらも1デッキ使用で、1ゲーム限りで交換です。テーブルゲームはサクサク進むのに対して、ライブゲームはディーラーがカードを配ったり、1ゲーム毎に交換しますので少し進行は遅いです。しかしライブの方がディーラーが人ですので、本物のカジノで勝負しているような雰囲気はあります。
配信会社 | ゲーム名 | 賭け金(アンティ額) | 対応カジノ |
Evolution Gaming | カジノホールデム | $0.5~5000 | ベラジョン、エンパイア、ラッキーニッキー、ワンダリーノ、ビットカジノ、888カジノ |
Ezugi | Casino Holdem | $0.5~500 | エンパイア、 |
Playtech | Casino Hold’em | $0.5~5000 | ウィリアムヒルカジノクラブ |
※賭け金はカジノによって多少異なります。
配信会社 | ゲーム名 | 賭け金(アンティ額) | 対応カジノ |
NetEnt | Casino Hold ‘em | $0.1~100 | ベラジョン、ワンダリーノ、888カジノ |
Play’n GO | CASINO HOLD’EM | $1~100 | エンパイア、 |
? | Casino Hold ‘em | $1~100、$50~500、$300~1500 | ラッキーニッキー、 |
Playtech | カジノホールデム | $0.5~30、$2~100 | ウィリアムヒルカジノクラブ |