新型コロナが与えた社会への影響

記事編集日 2020.7.24

新型コロナ感染による緊急事態宣言後の生活環境様式の変化を書き留めてみました。

 

雇用情勢の悪化

新型コロナウイルス関連による解雇や雇い止めが続き、6月4日時点で累計2万人を超え、2週間で倍増しました。リーマンショックの時は製造業を中心に派遣切りが相次ぎましたが、今回は小売り、宿泊、サービスなど幅広い業種に影響が出ているのが特徴です。

4月の完全失業率は2.6%で、有効求人倍率も1.32倍の低水準となりました。これは世界的に見ればまだ低い方ですが、企業が休業者を大量に抱えており、これらの潜在失業者を解雇した場合はさらに失業率が増加するのを避けれません。リーマンショックの翌年の2009年7月には失業率は5.5%と戦後最大の高水準となりましたが、今回はそれを上回る可能性が高く、6%を超えるのではと予想されています。現時点では完全失業者は189万人ですが、その場合は265万人にも上る計算になります。

尚アメリカの失業者は4日時点で4200万人を超えています。

 

雇用制度の変化

3蜜を防ぐために普及した在宅勤務により、雇用制度が見直されつつあります。今までは労働基準法より、時間に応じて手当を支払うメンバーシップ型でしたが、在宅勤務の場合は時間で管理をするのは難しく、職務内容を明確にした上で成果で評価するジョブ型に移行する企業が出てきました。資生堂、日立製作所、富士通等が導入するようです。

このようなジョブ型というのは欧米では珍しくなく、職務遂行能力が足りないと判断されれば解雇もあり得ます。日本の場合は職務範囲が曖昧なことが長時間労働の温床となっていましたが、生産性が悪いため、元々成果主義を取り入れる傾向が出てきていました。

アメリカではツイッター社が全従業員の在宅勤務を恒常化したり、フェイスブック社が従業員の半数を5~10年の期間で在宅勤務に転換したり、在宅勤務の定着化が進んでいます。

働く人を選ばない在宅勤務が定着すれば、雇う側は地域に限定しない遠隔地の優秀な人材も採用できるメリットがあります。アンケートで在宅勤務に6割は満足していると回答していますが、通信環境の貧弱性から6割強は仕事の効率が落ちたと言っています。また時間で管理されていないと、返って長時間労働につながりやすい面もあります。コミュニケーション不足からメンタルを崩す例もあります。

18年の統計では在宅勤務の導入率が8割超とされるアメリカは時間当たりの労働生産性が日本の1.6倍で、フィンランドなどの他の国を見ても在宅勤務に積極的な国は生産性が高い傾向にあります。ただ本当に生産性向上につながるかは評価が分かれ、コロナでも対面型のコミュニケーションを重視する企業も多いです。

 

消費行動形態の変化

新型コロナウィルスは人々の消費行動形態へも大きな影響を及ぼしています。取り立て高齢者は重症化リスクが高いため、ECモール・通販の伸びが若者層に比べて著しく伸びてきました。中でもホームセンターやスパーで取り扱う生活必需品の購入が伸び、他にはペット関連や通信サービス、玩具やゲームのダウンロードといった、在宅時間の増加に伴う巣ごもり消費が増えています。またUber Eatsなどを利用した宅配を利用も増えてきました。一方一方でレジャー施設、旅行代理店、美術館・博物館、映画・劇場、交通関連などの落ち込みは激しいです。

 

観光産業や宿泊業

各国の渡航規制により外国人の訪日客が期待できないため、観光産業は日本人客に活路を見出すよりなく、大きな変化を迫られています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は8日来場者を限定し、3カ月ぶりに営業を再開しましたが、来場者には検温やマスクの着用を義務づけ、アトラクションも間隔を空けて並ぶなど、感染予防に細心の注意を払う形となりました。

箱根をはじめとする温泉旅館でも再開はしたものの、大浴場は閉鎖し食事は全て部屋食にするなど、消費者の高いコロナ対策意識に添える形となっています。

国内旅行者も近隣の都道府県など1~2時間程度で行ける、マイクロツーリズムと呼ばれる近場の旅行が増えています。

 

ライブハウス

クラスター感染を出してしまったライブハウスは100~300人は収容できるハコ型で、地下にあったり防音のために3重の扉を設けるなど、換気がしにくい構造になっているため、営業の休止は続いております。元々大勢の人の一体感や熱気こそがライブハウスの魅力ですので、コロナとは最も愛称が悪い業種といっても過言ではありません。

仕方がないため、無観客ライブ配信やアーティストの演奏を週1で撮影して配信するなどをしていますが、収益は微々たるものでとなっています。

19日から再開は可能となりますが、出演者と客の間に2mの距離を取り、客同士は1mの距離を取り、観客が歌う行為は禁止などの新基準が盛り込まれるようです。

 

水商売系

ホストやキャバクラ、風俗といった水商売系も、当然ながらコロナの煽りをもろに喰らいました。しかし営業を止めてしまっては飯が食えない彼等は、自粛期間中も闇営業を続けていました。これが集団感染を引き起こし、6月14日に都内で確認された47人の感染者のうち18人は新宿エリアのホストクラブの従業員で、残り29人中14人も繁華街関係者でした。つまり感染者の2/3くらいは、それなりに感染リスクの高い所に身を曝しているというのが分かります。

 

プロスポーツ

プロ野球は3ヵ月遅れの6月19日に開幕し、サッカーJリーグは7月4日に再開されます。選手にPCRの検査を実施したり、当面の間は無観客でやる等細心の注意を払ってやる形となりましたが、収入の激減は避けられません。チケット販売や球場内の飲食物販が収入の柱となる球団にとって、無観客は負の影響が大きいです。何とか来場できないファンと接点を保とうとソフトバンクやDeNAは観客席に応援ボードを出す権利を売り出したり、ジャイアンツは公式戦で配布予定だった限定ユニフォームとタオルのセットを3000円で発売しています。

 

コロナ論文による知の共有

新型コロナウイルス感染症に関する研究が急速に増え、コロナに関する論文は既にSARSの100倍を超えています。これらは専門家による査読と呼ばれる検証を受ける前に成果が発表され、感染拡大阻止や治療薬の探索に向けていち早く公開する知の共有が世界で進んでいます。

薬やワクチン開発の鍵となる、ウイルス表面のたんぱく質構造が突然変異したことにより感染力が強まったと指摘した米ロスアラモス国立研究所の論文等は、閲覧数が27万回を超えています。

しかし査読前であるため、不正確な情報である可能性もある論文も出回ってしまうところが難点です。研究の高速化は進んでいますが日本の存在感は薄く、査読前論文は31本に止まり、首位の中国545本、2位のアメリカ411本に比べて1/10にも満たっていませんが、それほど症例数が多くないとも言えます。

 

地方の財源不足

新型コロナの影響で景気が悪化し税収が落ちこむ一方、検査や医療体制、休業協力金の給付や家賃補助といった支出は膨らむ一方で、財源不足はリーマン危機後の18兆円を超える恐れがあります。これまでは過去に積み立ててきた財政調整基金を活用していますが、取り崩し額は全体の7割にあたり、15年で積み上げてきた1兆円がコロナで丸ごと吹き飛んだ計算になります。

国が低金利で財政融資する特例債や、市場への1年債を認める初めての措置で対応することになるようです。

 

オンライン生活ツール

テレワークや友人らとの交流にZoomなどのオンラインツールの利用が一気に広がりました。仕事だけでなく、飲み会や教育などオンラインを通じたやり取りが浸透しました。パソコン用カメラは前年の同月比で約5倍の売り上げとなっています。

 

自分の身の回りの変化

街行く人々はほとんど皆マスクを着用しており、レストランや食堂の利用者は明らかに減っているのが分かります。店側もテーブル間に敷居も設けたり、入店前のアルコール消毒をお願いしたり、セルフサービスの手で触れるところは手袋を着用してもらったり、コロナ対策をしっかり講じている姿勢が見受けられます。電車を利用する客も明らかに減っています。

緊急事態宣言が明けてから一度雀荘へ行ってみましたが、客は半分以下になったと店員は言っていました。マスク着用義務、ドリンクのサービスは無し、窓は全て開放といった感じでした。

最近はマスクも値崩れしてきましたが、3月下旬はマスクの相場は1枚100円で、私も丁度不足しており仕方無く購入したのですが、日本製ではなくMade in Chinaと書かれていました。

 

一週間毎の状況の時系列

2020.7.17時点

国別感染者数と死者数
感染者 死者
アメリカ 3560364人 138201人
ブラジル 2012151人 76688人
インド 968876人 24915人
ロシア 752797人 11937人
イギリス 294110人 45204人
スペイン 258855人 28416人
イタリア 243506人 35017人
イラン 267061人 13608人
ドイツ 201450人 9087人
トルコ 216873人 5440人
フランス 173388人 30120人
中国 83612人 4634人
日本 22890人 985人
韓国 13612人 291人

世界でも日本でも第2波が来たという感じです。東京都でも今日の感染者は293人で2日連続で過去最多を更新しました。

 

2020.7.24

国別感染者数と死者数
感染者 死者
アメリカ 4032430人 144167人
ブラジル 2287475人 84082人
インド 1239635人 29861人
ロシア 795038人 12892人
イギリス 297954人 45583人
スペイン 267551人 28426人
イタリア 245338人 35092人
イラン 284034人 15074人
ドイツ 205470人 9278人
トルコ 223315人 5563人
フランス 179398人 30182人
中国 83750人 4634人
日本 27029人 990人
韓国 13938人 2297人

第2フェイスに完全に突入し、全国的に広がってきています。昨日は日本で全国初の900人超えでした。

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