日本にカジノを誘致するために乗り越えねばならない課題
今年早くも政府与党はカジノ法案の成立について見送る方針を固めました。
夏の参院選を控える公明党が難色を示したことと、カジノが与える社会への悪影響の措置を十分検討する必要があるとのことです。
2000年に東京都知事だった石原慎太郎氏が「東京にカジノを作りたい」と言い出してからカジノ解禁が言われるようになり、2014年安倍晋三内閣の下IR法案が審議入りしましたが、結局可決には至りませんでした。
それからずるずるきてしまい、もうとても2020年の東京オリンピックには間に合いそうもありません。
何か賞味期限切れみたいになってしまい、存在感も薄れてきている感じです。
IRとはIntegrated Resortの略で、統合型のリゾートということです。
カジノだけではあまりにもイメージが悪いので、その他に国際会議場、展示場、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、映画館、アミューズメント施設、スポーツ施設や温泉といった様々な施設を揃え、文化・学術的なイメージにカモフラージュさせると同時に、それらで集客しようということです。
IRは特定複合観光施設とか国際観光産業振興とか言われたりしますが、要はカジノです。
あまり歓迎されない言葉は長ったらしい言葉で婉曲的に置き換えられる傾向がありますが、カジノ=ギャンブルとした見方が強く、当事者もやはりあまりいいものとは捉えてないのでしょう。
私個人としては是非日本へカジノを建設してほしいのですがやはり問題が多そうなので、ここで乗り越えねばならない課題をまとめておこうと思います。
まずなぜ私が日本へランドカジノを建設してほしいのかといいますと、他のギャンブルに対してカジノゲームは圧倒的に控除率が低いことと、ディーラーさんをはじめとしてゲームを通じて社交的な場が欲しいからです。
ギャンブルは全て胴元が勝つようにできているのは周知の事実ですが、日本の公営ギャンブルに至っては宝くじやスポーツ振興クジが-50%、競馬・競輪は-25%と控除率の高さは異常です。
それに対して主要なカジノゲームの控除率は以下の通りです。
ゲーム | 賭けの種類など | 控除率 |
---|---|---|
バカラ | バンカー | -1.06% |
バカラ | プレイヤー | -1.24% |
クラップス | パスライン | -1.41% |
クラップス | ドントパスライン | -1.36% |
ブラックジャック | カードカウンティング | +1% |
ブラックジャック | 標準的なプレイヤー | -2% |
ブラックジャック | 下手なプレイヤー | -4% |
ルーレット | ファイブナンバー以外 | -5.26% |
カジノは自然確率に基づく控除率を大数の法則によって近似させるというやり方で利益を上げていますが、これは日本の公営ギャンブルに比べて頗る公平だと思いませんか。
これだと一発勝負なんていうのもやってみたくなります。
またパチスロなんかは機械を相手にしており何か無味乾燥としているのに対して、カジノのテーブルゲームはディーラーさんとのコミュニケーションがとれたり隣の人としゃべってみたりと、ギャンブル以外の社交的な楽しみ方もありそうです。
さてこのカジノ解禁に対しての最初の課題ですが、まずはどこに作るのかです。
候補地としていくつもの地方自治体が名乗りを上げていますが、私はやはり最初は東京のお台場が一番適しているのではないかと思います。
東京ビッグサイトをはじめ、いろいろなアミューズメント施設やショッピングモール、レストラン、大型のホテル、人口の砂浜など、既にIRが大方完成している感じだからです。
特に東京ビッグサイトのような国際展示場や国際会議場を含む施設はMICE(マイス)と呼ばれ、比較的客単価の大きいトラベラーを一度にまとめて産むことができますので、その存在価値は大きいと思います。
お台場はまるでカジノ誘致を見越して作られた感じすらします。
そして国際化された羽田空港の存在も見逃せません。
これにより30分くらいで行けてしまいますので、外国人観光客を呼び込むための交通インフラは既に出来上がっていると思います。
まあ大方中国人なのでしょうが(笑)
お台場海浜公園
次の課題は資金のインフラを整えることです。
仮にカジノを作って人が集まったとしても、資金がスムーズに送金されるシステムがないと大金を使うには至りません。
現在は外為法により100万円以上の現金を日本へ持ち込む場合は身分証の確認や煩雑な手続きが必要です。
これが結構足枷になっていますのでこれを緩和し、クレジットカードを利用できるなどのサービスを提供する必要があると思います。
それでもハイローラーは数千万~数億円も転がすため、この資金をどうやってスムーズに移動させるかは大きな課題だと思います。
ちなみにマカオではジャンケットと呼ばれる仲介業者がカジノとハイローラーの間に立ち、これらをやり繰りしてくれます。
資金の移動がスムーズになれば一応カジノとして機能しますが、それでカジノ運営が上手くいくかどうかは別問題です。
カジノは何の付加価値もなく一瞬にして大金を増やせてしまうという性質上、マネーロンダリングに利用されることがしばしです。
違法な献金や薬物の転売などで得た裏金を、カジノと組んでカジノで勝った金という名目にすることも可能なのです。
マカオでは中国人富裕層が随分とこれをやり問題となりました。
またパチンコでいうゴト師(イカサマをやる人)なども必ず出てきますし、時にはディーラーと組んでやる人も出てくることだと思います。
よって監視カメラを設置し双方を監視すると同時に、第三者機関を設置しマネーロンダリングなどの不正が行われていないか常に監視する必要があると思います。
皮肉なことに金の流れを透明にすればするほど客足は遠のくと思いますが、こればかりは仕方ありません。
ましてカジノは一部の民間企業が運営するので、これをしないのは悪の巣窟を作るようなものです。
ラスベガスカジノ産業が発展したのも、ゲーミングコミッションとゲーミングコントロールボードという政府の管理機構があったのも見逃せないところです。
そしてこれも大きな課題ですが、カジノが設置されますと今まで以上にギャンブル中毒やギャンブル依存症を生み出してしまうことも諌めません。
これはカジノ推進派ですらも認めていることです。
とりわけ日本はパチンコ店などが身近にあり、ギャンブルに接し易い環境にあるため、こういったものにのめりこみやすそうです。
事実日本のギャンブル依存症疑いは500万人超と言われています。
これらの対策をどうするかです。
よほどしっかりした対策機関を作らなければ、韓国の江原ランドの二の舞になってしまいます。
江原ランドは韓国で唯一自国民が利用できるカジノですが、集客には成功したものの、ギャンブル依存症になったものが自分や家族の資産を食いつぶして破産や自殺に至るケースが絶えませんでした。
さすがに韓国政府は対策を立てましたが、これはカジノを作るなら日本も大いに教訓としないといけないところだと思います。
政府はあくまで日本国内のカジノの利用は外国人観光客に限ると言っていますが、それでは日本国内の巨大なマス市場が狙えないので、利益が限定的となってしまいます。
先程カジノは民間企業が運営すると言いましたがそこには自由競争があるわけではなく、ごく一部の利権を持った政治家や官僚が選定した業者のみが運営できるのですから、それにあやかれる企業はほぼ永続的に莫大な利益を上げることになります。
これも何か資本主義という観点からみたらおかしい感じがしませんか。
カジノで得た利益は国民にも十分に還元してもらわなければなりません。
皆が納得のいく丁度いい税率を設定するというのも難しい問題だと思います。
尚外資系のカジノグループ企業が、日本でカジノが解禁されたら1兆円以上を投資すると準備があると言っていますが、長期的に見たらやはり日本が経営携わった方がいいと思います。
さて最後にもしIR法案が可決して日本にカジノを作るなら、他のアジア地域のカジノと競合しなければならなくなります。
このため他国のカジノと差異を図るため、日本にしかないカジノを作る必要があります。
例えばカジノの中庭に日本庭園を取り入れて見たり、カジノゲームに花札やチンチロリンを取り入れて見たりといろいろと工夫できると思います。
どういった日本式のカジノを作るかも外国人観光客の客足に大きく影響を及ぼしますので、十分な検討が必要でしょう。
このようにカジノを作るといっても乗り越えねばならない課題が山積みで、一つ一つ見ても難しいものばかりです。
しかしこれらを乗り越えた先にはきっと日本の新しい文化が誕生することだと思います。
日本で堂々とカジノゲームができる日まで、ゆっくりとオンラインカジノでもやりながら待とうと思います。